【大紀元日本7月13日】「犠牲になっても構わない。我々は“90後”(90年代生まれ)だから」-今月、工場建設に反対し、四川省什邡市で起きた大規模なデモに若者の姿が目立つ。彼らの口から発せられたこの言葉はインターネットで広まり、「中国の希望」と褒め称えられた。一方、若者のデモ参加に当局は警戒感を示している。
高校生と大学生が中心的な役割を果たした今回のデモは「一人っ子で我がままに育ち、脆弱で他人に無関心」という世間が抱く「90後」のイメージを大きく覆した。
香港紙・蘋果日報は、国内治安維持を担当する中央政法委は市民の抗議活動に対して、これまでの武力弾圧から懐柔政策へ転じたと伝えた。その目的は若者のデモ参加を阻止するためだという。
当局はデモの拡大を受け、逮捕者の多くを釈放し、工場建設の中止と市トップの降格処分を決め、事態収拾を急いでいる。
衝動的で未熟さが残る学生だが、中国の歴史に大きな影響を与えた近代のいくつかの大規模な市民運動の起点は学生である。最も記憶に新しいのは89年の「天安門事件」。こうした歴史的背景があって、当局は学生のデモ参加に警戒感を抱いているようだ。
共産党機関紙・人民日報6日付の記事で、今回のデモで中高生は大人に利用され政治に参与していると批判し、「未成年者の本分は学業、デモに参加すべきではない」と呼びかけた。
これについて、蘋果日報は、当時の毛沢東は学生が主体だった紅衛兵を利用し、「革命」と「造反」という名のもとで、党内実権派を攻撃していたと指摘し、「幸いなことに、共産党の教育を受けている今日の学生は多彩なインターネットとミニブログから大きな影響を受けた」と述べた。
ある学生はデモ参加の動機について、「社会の責任感とふるさとへの愛着」との言葉を口にした。経済が急速に発展する数年前と比べ、今は人口の流動が減りつつあり、若者の間に地元意識が芽生え、環境汚染問題への関心も高まっている。
もう一人の19歳の学生は英FT紙に対し、「真実を伝えたいいだけだ。多くの“90後”もそう思っているはず」と話し、デモ現場の写真を撮影し、インターネットに載せた。
市民は什邡市の学生らを「中国の希望」と称え、ある学生も米VOAの取材に対し、デモ参加を「後悔していない」と話した。
教育レベルが高く、インターネットを使いこなしている今の学生は「翻墙」(検閲ソフトを乗り越えて、禁止されたウェブサイトにアクセスすること)を通じて、様々な情報を入手し、親の世代より言論の自由に対する意識が高いと中国の有名ブロガー、安替氏は分析する。
さらに、経済発展の恩恵を受け、中流階級に仲間入りした多くの「80後」と比べ、「90後」は経済成長が減速している今、就職難や環境汚染など発展の負の遺産を押し付けられ、発展からそれほどの利益を享受できていない。こうした社会背景で、英紙フィナンシャルタイムズは「今後、“90後”はデモ活動でさらに積極的な役割を果たすだろう」とみている。
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