【大紀元日本4月18日】不動産バブルと言われる中国の都市部では、住宅価格の高騰がいまだに続いている。清華大学政治経済学研究センター、河南省財経政法大学、および中国社会科学院文献出版社が共同でまとめた調査報告書『不動産取引行為および不動産政策』によると、北京、上海、広州など、中国の一線都市(消費人口が多く、消費力がもっとも高い。上海、北京、天津、広州、深セン、武漢、南京、瀋陽、西安、杭州など)における住宅価格年間所得比は25.25:1で年収の約25倍、一般都市部でも約12倍となっている。
「ニューヨークの3倍」突出した住宅価格
住宅価格年間所得比とは、住宅価格と一般家庭の年収との比率を表したもので、国際基準では年収の6~8倍が適切とされている。先進国であっても、英国のロンドンは6.9倍、米国のニューヨークでは7.9倍、韓国のソウルは7.7倍。オーストラリアのシドニーはやや高く8.5倍となっているが、それでも基準値を大きく超えてはいない。
しかし、中国の一線都市の住宅価格年間所得比は、米国のニューヨークよりも3倍高く、中国の一般都市部も、先進国と比べてはるかに高い。一般都市部の住宅価格年間所得比で試算すると、これは中国の都市部の1世帯が、12年間何も飲まず食わずでやっと1軒の分譲住宅を買えることを意味する。
不動産総費用の5割を地方政府が徴収
清華大学の調査報告書によると、中国の住宅価格を高騰させた原因は、不動産開発プロジェクトの総費用のうち、5割の資金は地方政府に納めなければならないことにあるという。
中国の不動産価格の内訳は、土地所有権譲渡費用、建設および施工管理費、営業販売費用や財務・管理費用などを含む期間費用、さらに税金および販売者側の収益となっている。
ところが上海の例を見ると、不動産開発企業の開発プロジェクトにおいて、総コストに占める割合が最も高いのは土地関連コストで、全体の52.8%を占める。他の都市を見ても、土地コストが総コストに占める割合は、平均49.42%となっている。言い換えれば、不動産開発プロジェクトの総コストのうち、半分近くまたはそれ以上の金額が地方政府に支払われていることになる。
土地収入が地方政府の財政の大半を占めている現在、不動産開発企業に対して徴収する高額な土地コストは、結果的に住宅購入者に負担させる構造になっている。住宅購入者が地方政府の財政を支えていると言える半面、誰も住宅を買わなくなれば、地方政府の財政は直ちに破綻する危険性をはらんでいる。これが、中国の住宅価格が先進国に比べても異常に高い価格に維持されている主な原因だ。
専門家「市場開放すれば半額以下に」
河北省に在住のエコノミスト・楊斌氏は、本紙の取材に対して次のように語った。
「親の援助を受けないとすれば、分譲マンションを買うために、大卒者でも一生働き続けなければならない。中国の住宅価格がこれほど高いのは、不動産市場における価格が市場価格ではなく、独占価格になっているからだ。これは不動産企業が地方政府と結託して私腹を肥やしてきた結果でもある。住宅価格が高ければ高いほど、彼らは儲かるからだ。彼らが、普通の人々が得られる一生の富を、この一事で奪ってしまったと言える」
また楊氏は、「土地を私有化して不動産市場を開放し、さらに市場競争における適切な機制を形成させた上で市場価格での取引を認可すれば、中国の住宅価格は現在の半分以下にまで下落するだろう」との認識を示した。
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