【大紀元日本3月24日】最近、南シナ海のパラセル(西沙)諸島付近で漁をしていたベトナム国籍の漁師が、中国当局に拘束されていることが明らかになった。また中国側は漁師の釈放金として7万元(約92万円)をべトナムに要求しているという。
匿名希望のベトナム地方局関係者がAP通信に対して述べた話によると、今月3日、2隻のベトナム籍漁船に乗っていた21人の漁師は、中国当局に拘束された。漁師らは家族に助けを求めており、また中国側に釈放金として7万元を要求されたと話しているという。
ベトナム外務省のルオン・タイン・ギ報道官は21日、中国に対し「漁師の即時無条件釈放」を求め、要求されている保釈金は支払わないと述べた。
一方、中国外交部(外務省)の洪磊報道官は22日の定例記者会見で、漁師の拘束があったことを認めたうえで「ベトナム漁船の行動は、中国の主権と権益を侵犯した」と述べ、拘留は「正当な公務執行」と主張した。加えてベトナム政府に対し「不法な侵入者を管理、教育」するようにと述べた。
両国が主権を主張する同海域では、しばしば衝突が起こっている。2月下旬も、ベトナム船籍が悪天候から避難するためにパラセル諸島内の島に上陸しようとしたが、中国船籍に妨害されるという出来事があった。
ベトナム政府のカオ・ドゥック・ファット農業農村開発相は22日、漁業に関する国際紛争を解決するために、南シナ海に「漁船監視部隊」を設置し、監視を強化すると政府公式サイトで発表した。
ベトナム政府は最近、中国国営の石油企業がパラセル諸島周辺の油田の国際入札を行っていることや、中国側の観光事業を推し進めていることなどについて「ベトナムの主権を深刻に侵害している」と中国側を強く非難する声明を出していた。
南シナ海は、世界の海輸船舶の3分の1が通過する場所で、また石油とガスなど豊富な天然エネルギーを有するといわれている。パラセル諸島は中国とベトナム、台湾間で領有権争いがあるが、スプラトリー(南沙)諸島は、同3国の他、ブルネイ、マレーシア、フィリピンが主権を主張している。