【大紀元日本3月14日】中国最高人民検察院(最高検)の曹建明検察長(検事総長)は11日、北京で開かれた全国人民代表大会(全人代)で活動報告のなかで、「海外の司法当局との協力を強化した結果、昨年1年間で逃亡した1631人の汚職幹部を逮捕、海外で77億9千元の現金や資産を差し押さえた」と述べた。
「巨額の賄賂を受け取った後に海外に逃亡する。逃げ切ればこっちの勝ち」―これはすでに汚職幹部が誰もが思い描いたシナリオとなっている。政府当局はこれまで逃亡する汚職幹部の人数と被害金額を公表していないが、昨年7月、中国共産党機関紙の人民日報海外版は中央紀律検査委員会の報告を引用して、4000人の汚職幹部が500億ドルの資金を海外に持ち逃げしていると報じた。しかし、数日後に誤報があるとして、人民日報は同報道を撤回した。
江蘇省南京市東南大学の張賛寧法学教授は現行の汚職取締制度に制限され、逮捕された汚職幹部はわずかの一部に過ぎないと指摘した。「現行の制度では検察院と公安局は直接汚職幹部を摘発することができない。党の紀律検察委員会は事実上、取締を主導している。いわば内輪同士の摘発であり、汚職幹部のほとんどは権力闘争に負けて告発された。現行の制度では汚職の根絶が難しい」と説明した。
海外の司法当局との協力が一定の進展を見せている。昨年、 アモイを舞台とした新中国建国以来最大規模の密輸・脱税事件とされる「遠華密輸事件 」の頼昌星容疑者がカナダに12年間逃亡した末、中国に強制送還され、注目されている。
同教授は「中国政府の要請がなければ、海外の司法当局も動かない。要請したケースはわずかしかない」と法に裁かれていない海外逃亡した汚職容疑者は数多くいるとの考えを示した。
同検察長はさらに、昨年1年間で汚職などで立件された公務員の数は4万4506人だったと発表し、10年連続4万人を超えている。そのうち、閣僚級は7人、局長級は198人だった。