【大紀元日本2月28日】「中国と欧州の貿易関係は、欧州金融危機に対する中国当局からの支援と切り離してはならない」と中国政府が初めて明確に表明した。欧州委員会による、中国製有機被覆鋼材を対象とした反ダンピング(不当廉売)調査をけん制するための発言とみられる。
反ダンピング調査を申し立てたのは欧州鉄鋼連盟(EUROFER)。ここ半年で、二度目の申し立てだ。
中国商務部の公式サイトはこのほど、商務部輸出入公平貿易局のトップの談話を掲載。中国側は今回の調査に「強い不満」を抱いていると示し、「欧州委員会は誤った貿易保護主義のメッセージを発した。中欧の鉄鋼の正常貿易に負の影響をもたらすほか、双方が連携して危機に対応している努力に水をさす」と記した。
また、「世界経済がいまだに金融危機の難局から脱却しておらず、欧州の多くの国が国債危機に瀕している状況下、各国が一層の協力をはかり、オープンかつ寛容な態度で危機に応対すべきだ」とも発言した。
ラジオ・フランス・インターナショナル(RFI)はその関連報道で、「中国商務部のこの声明から読み取れるのことは、中国当局が欧州金融危機の解決を支援する条件は、欧州国家が関わる貿易問題で、中国に一定の譲歩を行うことだ」と評した。
中国の温家宝首相はこのほど、欧州金融危機の解決への意欲は示したものの、具体的な承諾はなかった。また同首相は、中国の貿易状況に関しては、欧州側は慎重に検討すべきで、双方はいなかる形でも保護主義は拒絶すべきであると述べた。
また、商務部発表は、欧州委員会はいまだに中国の市場経済の立場を認めていないと非難し、反ダンピング調査は差別的かつ不公平であり、世界貿易機関(WHO)のルールに違反しているという声明を主張した。
一方、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、欧州委員会で貿易政策を担当するクランシー報道官の発言として、今回の反ダンピング調査はWTOのルールに遵守するものだと報じた。