【大紀元日本2月23日】中国の仏教名所である広東省東莞市の観音山国家森林公園の敷地内で、中国石油(ペトロチャイナ)が無断で森林を伐採し、天然ガスのパイプライン敷設工事を実施したため、公園側との間で激しい衝突が起きている。
15日、観音山国家森林公園に千人余りの公安、武装警察、城管(都市管理執行隊)などが押し入り、中国石油の天然ガス敷設工事の実施を警護した。公園職員が阻止したため、双方に衝突が生じ、公園職員など多くの人が警察の暴力を受けた。当日、少なくとも47人が逮捕され、現在も13人が身柄を拘束されている。
千人近くの武装警察が公園を封鎖
目撃者のネット上の書き込みによると、当日、完全武装した武装警察が警棒などを手に観音山公園の建物および山の入口、工事現場などを包囲し公園全体を封鎖した。公園外部に通ずる道路には警戒線が引かれ記者や観光客の通行を厳しく禁じたうえ、スピーカーから公園職員及び観光客に周囲で見物しないよう放送が流れた。当日、公園内の運営は全て麻痺し現場は一時混乱状態となった。
現地政府は13日、公園に対し15日に施工を行うと通達している。公園の女性職員は記者に対し
強行工事に抗議する公園の従業員(ネット写真)
、「15日、公園の全職員が早く出勤し、一部事務員と上司らが山頂とふもとで見張り、(施工者と)対峙していた。10時ごろ、多くの武装警察や公安がやってきて山を封鎖した。観光客は追い払われ、私たち職員も47人逮捕された。現在上司ら13人がまだ釈放されていない。おそらく10日から15日間拘留させられるだろう」と話した。
他の男性職員は、これは中国石油と現地政府が共同で画策した行動だと話した。当日、8つの鎮の警察が動員されパトカー数10台も出動したという。
観音山国家森林公園の外には、現地政府のスローガンが至る所に掛けられているが、公園職員や観光客も抗議の横断幕を広げ、現場で抗議していた。
合意しないままの工事再開
今回のパイプライン敷設工事は西気東輸二線プロジェクト(国外と西部の天然ガスを東部に輸送する)の一環である。同プロジェクトの同区間は3月30日前に完成させる予定だが、双方は合意に至っていなかった。
観音山公園は国内初の民営による国家クラス森林公園。同プロジェクトで観音山を通すか否かの論争は3年近く展開されていたが、昨年8月、施工手続きが履行されない状況下において観音山では工事が推し進められ、公園側の強い反対を受け何度も衝突を起こしている。
昨年11月4日、国家環境保護局の調査を経て、同プロジェクトは環境保護手続きが完全でない上、無断でルートの変更も行ったため、工事の停止が命じられた。再開は環境保護局の回答を得てからとなっていたが、今回の施工はこれらの規定を無視した形となった。
工事反対に数万人が署名
観音山は仏教名所として知られ、大慈大悲観世音菩薩が中国に入った時、初めてとどまった場所と言われている。今回のパイプライン工事で、景観が損なったばかりか、森林が伐採され水土流出も深刻。また、生態環境も破壊され、観音山は痛手を負ったと中国経済網は報じている。
同プロジェクトは昨年も強行施工が行われ、人々の強烈な抗議を受けている。観音山公園が行った署名活動にすでに数10万人の署名が集まっている。公園の入り口には署名の書かれた横断幕が掛けられている。
関係者によると、中国石油のパイプラインプロジェクトはもともと観音山の敷地を通る予定ではなかったが、東莞市の一部の幹部からの指示により観音山通過が決定した。その背景には公園と当局の対立があるという。
地元紙・新快報によると、観音山公園側は東莞市樟木頭鎮石新村と1999年に50年契約を締結している。だが06年に鎮政府が買付けの要求を持ちかけ、公園側はこれを拒否した。その後、観音山公園は様々な困難に遭遇しているという。
関係者は、東莞市の最も重要な観光スポットとなった観音山を市・鎮政府の手に収め、利益を図りたかったが公園側が拒否したため、今度は他の手段で公園側に圧力をかけて退かせようとしている、と話している。
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