【大紀元日本1月18日】 アラブ諸国を歴訪している中国の温家宝・首相は15日、アラブ人民の改革の訴求を支持すると述べた。1年前に中東で勃発した民主化運動「ジャスミン革命」について、中国の最高指導者がアラブ人民の改革の訴求への支持を表明したのは、これが初めてである。
中国国営通信社・新華社の報道によると、温家宝・首相は同日、サウジアラビアの首都リヤドで「イスラム協力機構」のイフサンオール事務局長と会談して、上記の見解を述べた。
会談で温家宝・首相は、「中国政府は人民への全ての暴力行為の停止を呼びかけ、関連諸国の国民の変革への訴求を支持する。そして、地域国家の政府と人民は自らの問題を解決すると確信・期待している」と述べた。
繰り返し中国の政治改革の必要性を訴えてきた同首相、今回の意見表明は再び強い関心を集めている。
その一方、発言が非常に概略的だったので、その真意が問われている。
偶然にも、中国共産党の機関誌『求是』は16日から、温家宝・首相の農村問題に関する文章を掲載した。タイトルは「中国農業と農村発展の道のり」。地方政府による農地の強制押収を抗議する農民運動が勃発していることに触れて、同首相は「いかなる人にも農民の財産を剥奪する権限がない」と強調し、農村の土地徴収制度の改革を推進する見解を示した。
新華社は15日に、同首相のこの文章の概要を報道した。
ロイター通信は15日の関連報道で、次のように分析した。
つまり、首相は実際には、中国政府のこれまでの一時期の政策を批判し、これらの政策が自宅の強制転居や、農民土地の剥奪を招いていると認識している。
昨年9月から、広東省の陸豊地区では、村幹部が農地を大量に無断売却したため、村民たちは武力弾圧の危険を覚悟の上、数カ月間にわたり抗議活動を続けていた。最終的には村民たちが勝利し、抗議の合法性が認められた上、民主選挙で村幹部を選ぶ権利も勝ち取った。広東省共産党委員会のトップ汪洋・書記長は3日、同抗議事件は政権にとって教訓であると認めた。
「中国政府はすでに気付いたのだ。つまりこのような抗議事件において、民衆の訴求が解決されなければ、中国ではもっと多くの集団抗議事件をひき起して、社会の安定を著しく脅かす」と中国問題の専門家は指摘する。