【大紀元日本12月26日】ロシアの多くの都市で24日、再び大規模な反政権デモ・集会が開かれた。参加者たちは今月始めの下院選挙のやり直しなどを引き続き、訴えている。またプーチン首相の複数の側近や各界の著名人らも今回の抗議集会に参加した。
首都モスクワでは真冬の寒さの中、大勢のデモ参加者はクレムリン宮殿付近に集まり「ロシアはプーチンを必要としない」などと叫ぶなど、反政権的色合いは前回の10日の抗議に比べ、明確化している。
抗議者たちは、来年3月4日に予定されている大統領選挙で「絶対プーチンに投票しない」と訴えている。
今回の抗議規模は10日よりさらに大きい。ロシア内政部は、参加者数は2.8万人だとしているが、抗議の主催側は12万人に達すると主張した。
今月4日に行われていたロシア下院選挙では、プーチン首相が率いる統一ロシア党は49.32%の議席を得て、最大野党の座を引き続き確保した。
一方、非政府組織が公表した情報では、当局が公表した選挙データは同組織の統計より20%も多いという。インターネットに公開された投票・開票映像と写真は、選挙の大規模の不正を示している、とデモ主催者側は主張する。
選挙結果が公表された10日、ロシア国内ではモスクワなど50の都市で、1990年以来となる十万人以上の規模の反政権抗議デモが行われた。参加者らは選挙のやり直しを求め、プーチン政権の退陣を求めるなどの政権交代などを要求した。
24日、首都モスクワの大規模デモの様子(YURI KADOBNOV/AFP/GettyImages)
24日の抗議集会では、プーチン首相の側近らも参加した。親友で10年前から財政相を務め、最近辞職したクドリン氏は抗議集会でスピーチし、政権の退陣を求めたほか、選挙法に違反した関係者を起訴すべきだと呼びかけた。クドリン氏はロシア政界で強い影響力を持っている。
抗議集会では、プーチン首相の恩師、故サプチャーク氏の娘も登壇し、応援演説を行った。
サプチャーク氏は生前、サンクトペテルブルクの市長を務め、80~90年代のロシア民主運動を率いた主要人物だ。プーチン首相を同市第一副市長に起用し、その後の政界進出のきっかけを作ったキーマンであり、恩師とされている。首相はサプチャーク氏一族と親密関係にあった。
ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、旧ソ連の最高指導者ゴルバチョフ氏は今回の抗議集会に参加しなかったが、抗議者への支持を表明した。同氏はプーチン首相の退任を呼びかけ、「プーチンの周りには、複雑な家族的勢力と利益集団が形成できている」と非難した。
ロシアの文化・芸能界、メディア業界、政界の多くの有名人も相次ぎ集会で応援演説を行ったり、映像参加などして、支持を表明した。
一方、プーチン首相は余裕を見せている。最近ロシアのテレビ局の取材では、抗議者らを嘲笑し、映画「森の王子様」の中の無法者の猿に例えた。
これまでの抗議集会が功を奏したためか、メドベージェフ大統領は22日、一般教書演説で選挙制度の見直しを中心とする政治改革を約束した。
しかし、抗議者の多くは、政府の譲歩は不十分だとし、主張の全面的な受け入れを現政権に要求している。
政府に管制されているロシアの複数の主要テレビ局も今回の抗議集会を多く報道している。
ロシアの著名作家アクーニン氏は10日の大規模抗議のとき、「プーチンが政権から退かなければ、カダフィ大佐の二の舞になる」と語っていた。