靴工場で8千人スト・デモ 広東省に広がる労使紛争

2011/11/19
更新: 2011/11/19

【大紀元日本11月19日】中国広東省東莞市にある台湾系企業の靴工場で17日、8千人規模のストライキデモが起きた。人員削減と残業代打ち切りへの抗議デモは、武装警察隊に鎮圧され、数十人の負傷者が出たという。

ストが起きたのは「ニューバランス」「ナイキ」など有名ブランドの靴を受諾製造する台湾・宝成工業傘下の「裕成製靴廠」。ラジオ・フランス・インターナショナル(RFI)の報道によれば、同工場の労使紛争は先月27日にすでに始まっていた。工場経営者は受注減で経営困難に陥っているとの理由で、18人のベテラン管理者を突然解雇したという。

また、地方紙・東莞日報は、数日前に同工場が発表した新制度がストのきっかけになったと報じている。同報道によると、工場が勤務時間の規定実施を強化したため、残業代を頼りにしていた従業員はひと月あたり数百元~千元(1元は約12円)の収入が減ることとなった。本紙が取材した従業員は基本給1100元で、以前は同額の残業代も稼げていたが、それがなくなると、広東省では暮らしていけないと話した。

17日のデモで、デモ隊は工場から市内にある町役場を目指して行進したが、約1000人の武装警察に阻止され鎮圧された。デモに参加した劉さんは「5、6人の警察が1人を囲んで殴ったり蹴ったりしていた。数人が血だらけになり、洋服もちぎられていた」と証言した。ほかの目撃者は、警察が警棒でデモ参加者の頭部をなぐり、頭から血を流している従業員もいたと話す。

台湾の宝成工業グループは世界でも有数のスニーカー・メーカーで、ブランド品の2割はこのグループが生産している。だが近年、広東省における労働力コストの上昇により、同グループは内陸の江西省に工場を移転し始めている。同様のケースが最近この地域で多く見られ、欧米景気の減速で受注が急減する事態も相まって、今後、労使紛争がさらに広がる恐れがある。

(翻訳編集・張凛音)
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