【大紀元日本11月12日】中国中南部の多くの地域ではガソリン、ディーゼル油などの燃料が厳重に不足するという「油荒」現象が発生し、産業活動に大きな影響をもたらしている。中国石油業界では、各方面で責任所在をめぐっての論戦が広がっている。
中国では政府が原油の価格を制定し、定期的に公表する仕組みだ。そのため、国際市場で原油価格が高騰する中で、中国では石油会社の製造コストが原油固定価格を上回るという逆ざや状態が度々生じている。つまり、工場を稼働すればするほど、石油製品を売れば売るほど、石油会社の赤字が膨らんでしまう。
中国民間の石油企業が結成した経済組織・全国工商聨合会石油業商会の執行会長・斉放氏によると、市場原理に従い、政府は7月の原油固定価格を引き上げるべきだった。しかし当時、政府は深刻なインフレを抑制するため、あえて原油価格を据え置きにした。10月初め、政府はさらに精製油の価格を引き下げることにした。
同組織のデータによれば、二大国有石油大手の中国石油化工集団(シノペック、以下・中石化)と中国石油天然気集団(ペトロチャイナ)が国内石油精製業の7割を占めている、また、精製油と原油の輸入権も独占している。
中国民間の石油精製会社は、同二大石油大手が赤字を減らすため供給を抑えており、そのため今回の供給不足(油荒)が生じたと主張している。中国国内紙「新京報」は6日の関連報道で、斉放・執行会長の発言を伝えた。同会長は、油荒が生じる根源は石油業界の独占体制にあると改めて非難した。
同会長は従来から、原油や精製油の輸入権を民間に開放するよう訴えてきた。
それに対して、中石化は10月下旬、民間の石油精製会社が逆ざや損出を抑えるため生産規模を縮小しているとし、これは油荒の主因であると反論。
同二大石油大手は、すでに精製油、特にディーゼルオイルの供給を最大限に増やし、工場はフル稼動していると主張した。それに対して、現場では油荒はまったく改善されていないとの声が根強い。
民間の石油精錬会社が投機目的で原油価格の値上げを見込んで原油を蓄積していることも指摘されている。
原油価格を決める中国国家発展・改革委員会(発改委)は10月30日、11月1日からの石油製品価格引き上げを決定した。一方、同委員会の関係者は、「この程度の上げ幅で、慢性的な赤字状態は打開できない」と認めている。
中国ではここ数年、油荒が度々発生している。中国紙「北京日報」の関連報道は、業界の声として、従来の原油価格の設定制度を改革すべきだと報じた。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。