「反ウォール街デモ」が世界に広がる様子を見せる前の6日に、中国河南省鄭州市の文化プラザ前では市民数百人が集まり、反ウォール街デモの参加者を応援する集会を行った。一方、この集会は地元政府の「やらせ」ではないかとの疑念の声が、中国ネットユーザーの間で広まっている。
集会については、中国共産党機関紙・人民日報傘下の環球時報が詳しく報じた。それによると、集会参加者のほとんどは60歳を超えた高齢者だ。彼らが持つ横断幕と腕章には、「断固として米国人民の偉大なる『ウォール街革命』を支持」などと書いてある。また集会参加者は、「資本主義は困窮を極めた」「社会主義が中国だけでなく、全世界を救えるのだ」と同紙のインタビューに答えたという。集会は2時間近くつづいた。
言論規制の厳しい中国では、この種の集会は珍しい。AFP通信は、この集会は地元政府の支持を受けた可能性があると分析する。
この奇妙とも見られる「デモ応援集会」と官製メディアによる関連報道は、中国のネットユーザーの間で大きな反響を呼んだ。
「いつから中国で集会できるようになったんだ?今度は誰が組織者(政府が責任追及する時の常套句)なのか?全員が定年したお爺ちゃんお婆ちゃんだから、恐らく・・・(政府が扇動したに違いない)」「面白い!中国の民主自由とは、政府指導の下で外国の物事に関して意見を述べる集会自由のことなんだね」「可哀想な老人たち。共産党の洗脳が成功した世代だ」などのコメントが飛び交った。
この数週間、中国の官製メディアは反ウォール街デモについて積極的に報道している。多くの報道はこのデモを「階級闘争・革命・反政府」と解釈している。「米国版ジャスミン革命」と称する専門家もいる。
ニューヨークに住むある中国籍エンジニアは、北京に住む父親に、「ウォール街のデモに参加しないように」と注意されたという。「反政府」と宣伝されたデモに参加すると、ろくなことはない、というのが一般的な中国人の発想だ。「アメリカからも中国政府の宣伝の余波を感じる」とこのエンジニアは居心地が悪そうに話した。
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