【大紀元日本10月8日】中国国内の貧困地域では、経済事情による食糧不足で、児童の発育不良の問題が深刻化している。民間の支援者グループが最近インターネット上で募金活動を発足。集まった資金で一部の地区の生徒たちに無料の昼食を提供し始めている。
調査によると、貴州省の山岳部の小学校では、児童たちの多くは朝5時に起床し、1~2時間かけて通学する。ほとんどの児童は昼休みにご飯を食べない。午後の体育の授業では、力尽きてベンチに寝込む女の子もいた。午後3時頃に授業が終わり、家に戻ってようやく暖かい夕食がとれる。これが現地の子供たちの日常生活だという。
中国発展研究基金会の報告書によると、国内の貧困地域における児童の栄養不良の問題は非常に深刻である。このため、発育不良の児童は全体の12%に達しており、72%の児童は授業中に空腹を感じている。調査を受けた10~13歳の子供の身長は、都市部の同年齢層に比べて6~15センチ低く、体重は7~15キロ軽い。
ある女性教師は「南方週末」の取材で次のように語った。彼女は毎日自分の宿舎に戻って昼食を取るしかない。子供たちの前で食べると、皆の目線が集中してとても耐えられない。取材記者はその言葉に思わず目頭を抑えたという。「30年前に自分はこのような境遇にいたのに、なぜ、30年後の今も子供たちは依然としてご飯を満足に食べられないのか」と同教師は憤りを抑えられない様子だった。
この状況を察知し、今年3月、500人余りのメディア関係者がインターネット上で「中国の貧困山岳部の小学生のための無料昼食」と銘打った募金活動を発足し、約180万元を集めた。まず、貴州省の学校で試行。無料昼食の内容はゆで卵1つ、ライス、料理1品。1人当たり1食の経費は3元(1元約12円)以内に抑える。同支援グループによると、全国の貧困地区の小学生に無料昼食を提供するには、年間700億元の資金を要する。
中国発展研究基金会の芦邁・事務長は、「国は700億元は絶対に負担できるはず。温家宝首相はかつて、教育の財政予算をGDPの4%に引き上げると公約した。2010年度の国民総生産で換算すると、その額は1兆6千億元になる。国にお金がないわけではなく、実行するかどうかの問題だ」と述べた。
同支援活動に参加する武漢大学の学生は、「チンゲン菜や、ウリ、卵などの食事は、決して豪華でもなければ特に美味しいものでもない。しかし、子供たちは笑顔で輝やき、口を揃えて美味しいと言っていた」とエピソートを語った。また、3つの山を越えて学校に通っている子供は、これまで遅刻は日常茶飯事だったが、無料昼食を提供しはじめてから、遅刻しなくなった。「学校に行けば食事がある」という楽しみがあるからだという。
この支援活動はいま、中国国内のインターネットで人々の関心を集めている。