中国4万のダムに決壊の恐れ 「耐用期限が過ぎている」

2011/08/26
更新: 2011/08/26

【大紀元日本8月26日】中国に現存する8万7000カ所のダムのうち、およそ半分の4万カ所余りに決壊の恐れがある。24日、中国政府系メディア・中国経済週刊が報じた。

この報道によれば、世界一の数を誇る中国のダムは、ほとんどが1950~1970年代に建設されたもの。これらのダムのほとんどは小型ダムであり、その9割以上は土石ダムとなっている。土石ダムの寿命は50年と言われているため、ほとんどのダムはすでに耐用期限が過ぎてしまっている。また、ダム使用中に必要なメンテナンスは、数十年間怠っていたため、現在、既存ダムの半分に相当する4万カ所余のダムは危険な状態にあると報じられている。

これらの危険なダムの多くは農村に点在し、県(郡)・市を流れる川の上流に存在するダムもある。同記事によれば、全国都市の25.4%にあたる179都市、そして全国の県の16.7%にあたる285県の上流に、決壊する恐れのあるダムがあるという。

「これらのダムがはらむ危険性は高い。決壊すれば、家も畑も工場も鉄道も、都市全体が飲み込まれてしまう」中国水利部(省)でダムを管理する徐元明・所長は中国経済週刊の取材にこう語った。

水利部が公開したデータによると、ダム決壊が記録される1954年以来、中国全土で3515カ所のダムが決壊している。これらのダムの98.8%は小型ダムである。1975年、淮河(中国第三の河)の流域では50カ所のダムが相次いで決壊。23万人が死亡する事故が発生した。これは人類歴史上最悪のダム決壊災害と記録されている。

ダムの修繕資金をめぐる横領や横流しの現状も、中国経済週刊の報道で明らかにされた。2009年6月に当局が公表した報告によると、554カ所の老朽ダムに対する修繕資金から5658万元(6億8千万円)が横領され、1億5311万元(18億5千万円)がほかのプロジェクトに横流しされている。

さらに、修繕工事の手抜きにより「おからダム」の存在も指摘されている。甘粛省の小海子ダムは2004年に修繕工事が終了し、「優良工事」とも評されたが、3年後の2007年に決壊し、下流にある4つの村が被害を受け、1700人が緊急避難したという。

 (翻訳編集・張凛音)