【大紀元日本8月20日】2004年秋、本紙「大紀元時報」は連載社説『九評共産党(邦訳、共産党についての九つの論評)』を発表した。
その1週間後、中国共産党からの脱党を表明する一人目の声明が発表された。以来、7年に近い歳月が流れ、中国共産党とその関連組織(共産主義青年団、共産主義少年先鋒隊)からの脱党・離脱を表明する運動、すなわち「三退運動」はますます高まり、ついに2011年8月6日、「三退」を表明した中国人の数が1億人を突破したのである。
1億人という人数は、みんなが片方の手を横に上げて並んだら、地球の赤道を一周することができる数で、道徳における1億の中国人の選択が、この地球上に明眸にして美麗なる地平線・水平線を描き出したことに他ならない。
それは、1億人による精神の覚醒、1億人による道徳的選択、1億人による魂の自己救済なのである。
赤色の災禍
およそ150年前、共産主義の潮流が起こった。その時から、少なからぬ人が、この共産主義をただイデオロギーの一種としてとらえ、またそれを理想への熱烈なる追求として理解したのである。
しかし1世紀半が過ぎ、人々は、共産主義がもたらした「赤色の災禍」を目の当たりにすることになる。暴政、特権主義、腐敗、殺戮、迫害、洗脳、世論操作、歴史の歪曲など、その災禍は枚挙に暇がない。人類史上、最も悲惨だったとされる二度の世界大戦における犠牲でさえ、共産主義の暴政下における受難者数には比べようもないのである。
共産主義。この西方からやって来た幽霊は、不幸にも、中華民族を覆いつくしてしまった。共産党は、暴力と殺戮、デマと虚言を弄するという統治術によって、中国人の肉体と精神を完全にコントロールしてしまったのである。中国人は、その恥辱に耐え忍びながら、屈服して生きるしかなかったのだが、その過程で、肉体と精神をしばる鎖や枷がますます重くなったのに気が付いた。中国だけを見ても、数億人が各種の政治迫害を受け、8000万人以上が非正常死させられているのだ。
この場合、肉体への傷害は(肉体の消滅も含めて)最も恐ろしいことではない。最大の災難は、中国人の「背骨」が打ち折られ、中華の伝統文化が破壊され、善悪の基準が転倒して道徳が退廃してしまったことだ。これはまさに、共産党が中国社会および世界にもたらした最大の災難と言えるだろう。
悠久の歴史において、無数の先賢が命をかけて義を守ってきた。その浩然の正気は、長く世に存在し、代々にわたって中国人を激励し続けてきたのである。天理を遵守し、仁と義を胸に抱き、信に誠実にして礼節を守る。さらに、富貴にして淫ならず、貧賤にして移ろわず、威武にも屈することもない。そのような五千年の中華文明が、絶えることはなかったのである。
そこへ共産党が来てしまった。騙しのスローガンを用いて善良な民衆を扇動し、正統な文化を野蛮にも打ち壊したため、文明の根幹は生木を裂くように引き裂かれた。「暴力」が文明にとって替わり、「虚言」が真相に化け、「党性」が人間性にすり換えられた上、共産党による政治が、全ての良知善悪の判断の基準となってしまった。人々は、たとえ罪悪や不義、不公正に対しても口を噤み、冬の蝉のように声を殺して耐え忍ぶしかなかったのである。
中国共産党による60余年の暗黒統治の結果、中華文明は最も危険な時期に至ってしまった。環境汚染、取り尽しによる天然資源の枯渇、さらに最も憂慮される事態は、共産党が伝統的な信仰や道徳を破壊したため、そこに信仰の「真空地帯」が生じたことである。それにより人々は道徳の基準を失い、伝統的な中国文化も中華文明も完全に潰されてしまったのだ。
善悪の基準が転倒した社会において、政府高官は狂ったように金銭をあさり、民間には、毒粉ミルク、毒米、毒入り食用油、毒ビーフンなどの食品汚染が広まった。人々は互いに傷つけ合い、社会モラルは崩壊のレベルに至ってしまった。
昨今の中国の、あの表面的なだけの繁栄は、まさしく「蜃気楼」のように、瞬時にして消滅するだろう。しかし、腐敗とその下で作られた劣悪な産品、および党文化(訳注、中国共産党の価値観に基づく悪文化)による宣伝は、グローバリズムの波に乗り、全世界へと広まってしまったのだ。
とりわけ人々の怒りを買ったことは、中国共産党の前の首魁・江沢民が、その共産党と相互に利用し合い(※)、「真・善・忍」を信仰する法輪功学習者を12年の長きにわたって迫害したばかりか、現在に至ってもそれが続いていることである。
中共は、自らが有するところの国家機器、政府機関、司法、人大(全国人民代表大会)、政協(中国人民政治協商会議)、教育文化などのあらゆる資源を用い、法輪功に対して大弾圧を開始した。その採った政策、すなわち「(法輪功学習者の)名誉を貶め、経済的に打撃を与え、肉体的に消滅させよ」によって、法輪功を修煉する人々に残酷な迫害を加えたのである。それは同時に、法輪功学習者以外の民衆も動員することであった。全国民をその渦中に引き込むために、法輪功を誹謗中傷する宣伝が至るところに配置されたばかりでなく、なんと「ニセ焼身自殺」まで捏造して憚らなかった。生きている人を故意に焼死させてまで一般民衆を扇動し、法輪功に対する憎しみを持たせるようにしたのである。中共は、その独裁的権力のために、ただ狂気のごとく法輪功を消滅させようとするばかりで、民族の前途など一顧だにしなかったのだ。
中共が、中国人を蹂躙して半世紀以上になり、また法輪功への迫害も12年を数えるが、その罪悪はいまだに止むことはない。
最近、浙江省温州で起きた高速鉄道事故において、中共は、全世界のメディアが注視する中、落下して大破した車両を、土中に埋めて隠そうとした。その上、恥知らずの言をもって世界をごまかし、民衆を恫喝したのだ。今、身体が虚弱で精神も脆弱な「巨人」にまで落ちた中華民族は、この歴史の十字路で迷い、徘徊するばかりになってしまった。なんというめちゃくちゃな時代、最低限の道徳も失うほどの、めちゃくちゃな時代になってしまったことか。それらは全て、中共という悪党の統治に由来するものなのだ。
失われた心の再生
2002年6月、貴州省平塘掌布郷で「蔵字石」が発見された。これは、約500年前に割れた巨石の断面に「中国共産党亡(中国共産党は亡びる)」の6文字が浮き出ていたというもので、専門家が現地調査した結果、人工物である可能性は全くないことが確認された。自然界において、このような造形が生まれる確率は1000億分の1であるという。
2002年に発見された「蔵字石」。当初、中共の現地政府は、「亡」の字を隠し、「中国共産党」の5文字であるとして発表するとともに、中共の神秘的権威を宣伝するため、「珍宝」として来訪者に有料で参観させていた。つまり、「人工物ではない」ということを、中共自身が認めていたのである。
2004年11月、大紀元の連載社説『九評共産党(邦訳、共産党についての九つの論評)』が世に出された。
それは、共産党の歴史の真実およびその本質の全てを暴露したもので、共産党が、暴政によって成り立ち、虚言をもって国を統治し、ごろつき同然の手段で国家と国民を翻弄する、まさしく邪教組織であると看破したものである。人々は、この一書によって、歴史の真相を知り、覚醒へと向かったのだ。
文明とは、人類の精神の立ち上がりの歴史である。世界の他の文明と同様に、中華民族の文明の歴史も、中国の古代の先賢が「天に感じ、地に悟った」歴史であり、中国人の精神が覚醒した結果であるのだ。
共産党が、中国において、また全世界において失敗したことで、中国人には厳しい選択が突き付けられた。未来の中国のために、選択しなければならない。ならば選択すべきは、善か悪か。誠実か虚偽か。寛容か闘争か。それは、一つの民族の未来を決定するだけでなく、一人ひとりの未来への道をも決定する選択なのである。
歴史は私たちにこう教えた。いかなる虚言、悪意、互いの闘争に基づく価値体系も、決して長く続くことはなく、それらは如何なる文明の精神的基礎にもなり得ない。
その意義に立脚して言えば、過去7年にわたる「脱党」運動は、もとより政治運動ではなく、精神の覚醒運動であり、自らの心と精神を再生させる運動なのである。
全ての中国人に関わる決断
今日、中国社会における権勢者たちの「無法無天(天を恐れず無法の限りを尽くすこと)」ぶりを目にし、人の心がこれほど他人を傷つけている有様を目にし、かくも理不尽な迫害に直面しても見て見ぬふりをして沈黙を守り、その上、真相を知っても、なお悪人に手を貸して悪事を行っている様子までも目にしたとき、私たちは何をなすべきか。
善悪に報いがあるのは天の理である。冥暗の中にあっても、神の力は全てを見通し、一切を審査しているのだ。
根本的な観点からすれば、これは空前のものと言ってよいほどの道徳上の選択であり、魂を揺り動かすほどの善と悪の戦いである。人々が、まだ中共に追随して道徳の谷間に堕ちて行き、政治、経済、文化などあらゆる方面での災難に向かっていくのか、それとも、毅然とした態度で中共と決別し、新たなる道義と善良への道を選択するかということだ。この選択は、全ての中国人が関わらねばならない決断であり、誰一人そこから逃避することはできない。
目下、中国の民間では、中共に対する抗議の嵐が吹き荒れている。中共の宣伝する欺瞞について、民衆がますます目覚めてきたからだ。天理にせよ、民意にせよ、「天滅中共(天は中共を滅ぼす)」の時が、ますます近づいていることは疑いない。
中国共産党は、言わば、10数億の中国人を人質にとって、死の谷間に落下していく列車のようなものだ。もちろん、列車そのものがどうなろうと構わないが、乗客の安全は守らねばならない。
中国共産党、およびその関連組織(共産主義青年団、共産主義少年先鋒隊)に所属したことのある中国人は、不幸にも、中共によって悪魔の教えを注ぎ込まれ、野獣の烙印を押されたも同然なのだ。私たちは、その人々を中共の「死の列車」から下ろし、窮地から救い出すことによって、滅びゆく中共の副葬品とならないように助けてあげねばならない。
昔の予言にも多くあるように、人類が巨大な劫難に見舞われたとき、天は人類に救いの手を差し伸べる。しかし、それには条件がある。そこで救われる人は、必ず善良で徳のある人間でなければならない、ということだ。中共から脱党・離脱するということは、この善悪の戦いを前にして、邪悪から遠ざかることを選んだことに他ならない。それは即ち、その人が正義と良知を選択したことであり、その人の精神が覚醒されたことを意味するものであるから、天の加護を受けるに値するということなのだ。つまり「三退」は、人を救う最善の方法なのである。
共産主義による「赤禍」が世界を撹乱させたこの100年は、道徳の欠如をもって始まり、道徳の回復をもって終焉を迎える。
1億人による「三退」。それは、中国共産党の1世紀近い歴史の中で全くなかった事象であるとともに、中共の厳しい統治下において、このような道徳上の選択は、想像もつかなかったことであろう。人類史上においても、これほど大規模な数の人々が平和的かつ理性的に道徳上の選択をしたという前例はない。
人々が、中共から平和的に離脱することを選択した今、その共産邪党は、まっすぐに解体へ向かって進んでいる。中共が今どのように悪事をなそうと考えていようとも、民衆のこのような道徳的選択に対して、もはやなす術はない。中国人は、心奥から中共のコントロールを脱することによってのみ、中華民族の松明を伝承することができるのだ。
20世紀、人々は、共産主義という邪教が起こり、そして凋落するさまを目にした。そして21世紀の私たちは、その邪教が終焉する場面を目撃することになるだろう。
重苦しく流れた60余年の長い夜。その暗黒の夜空を、1億人の「三退」が流星のように切って飛んだ。その光は、今すぐに暗黒の世を散らすものではないが、暗い夜空に一筋の閃光を確実に残したのだ。
暗闇に潜む魔王は、光明を渇望して求める中国人を抑制することはできない。長い夜の中に覚醒した人々は、黎明の到来を一層待ち望んでいる。その光明が至る直前の闇の中に、「三退」によって目覚めた人々は、心の灯をともしたのである。
その一つひとつは小さな燭光に過ぎないかもしれないが、それが集まって1億人分の光の海となり、中共の恐怖を駆逐し、後に続く人々の大道を照らす大きな光明となったのである。
一灯は一世界を照らし、衆生みな、無上の悟りに到達する。
善きかな、東方の衆生よ。偉大なるかな、脱党せし民衆よ。
(※)迫害前には中国国内だけで1億人とも言われる学習者がいた法輪功に対して、国民に全く人気がない国家元首・江沢民は、異常な嫉妬心を抱いた。そこで江は、共産主義イデオロギーの無神論・信仰否定・暴力等を利用して、中国共産党政権を延命させつつ、法輪功を消滅させようと考えた。