【大紀元日本8月19日】中国社会科学院が最近発表した「2011年の都市の青書」によれば、中国の都市の貧困ラインは1人当たりの年収を7500~8500元(約12万円)の間とし、都市部の貧困者数は5千万人、都市部の中産階級人口は2億3千万人に達しており、これは09年統計の都市人口6億2千万人の37%に相当する。これに対して、国内メディアと専門家は次々と疑問の声を上げている。
住宅と都市農村建設部政策研究センター主任の陳淮氏は、「これは明らかに控えめな表現であり、都市部の貧困人口が7%~8%という数字は恐らく低すぎる。20年前なら、満足に食事を得られるかどうかを貧困の基準としたが、今の時代は、昔と違い、医療の保障、子供の教育などの生活の基本的な需要が満たされなければ、すべて貧困に帰すべきだ」指摘した。
「四川オンライン」に発表された文章は、次のように指摘した。都市部の貧困人口を8%とすれば、これは遥かにアメリカの貧困人口より少ない。米国国勢調査局の統計によれば、09年、米国の4360万人が連邦政府が設定した貧困ラインの年収2万2千ドル以下で生活しており、貧困人口の割合は14.3%である。8%の貧困人口しかなければ、これはイギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンなどの先進諸国政府が公表した貧困人口の割合よりも少ない。
「千竜ネット」の文章では、統計上の「中産階級」は何の役にも立たない。我が国の中産階級の基準は1人当たり1日2ドル(13元)を消費するとされているが、物価がかなり高くなった今日では、13元では食費を賄う程度で、この基準で統計すれば、確かに2億3千万人が中産階級に達したと言える。しかし、これは人を騙しており自らを欺いていると指摘した。
「紅ネット」の評論文章では、月収2千元でも中産階級になれるのか?9割の普通の労働者は月収2千元以下で、物価が日々上昇している今、大都市でこの月給で生活すれば、食費、交通費、家賃を賄うのはかなり困難であり、中産階級だと持ち上げても、現実の生活では何の役にも立たないと指摘した。
37%の中産階級と8%の貧困人口を除けば、残りの人口はすべて富裕層になるはずだが、「中国ネット」の評論文章では、どの社会状態にもかかわらず、古今東西において上流階級はすべて「少数群体」である。社会科学院の「青書」の中では「多数の人口が上流階級になっている。つまり、富裕層は中産階級と貧困階級の総数よりも多い。これだけ見ても、「青書」の統計がいかに信用できないかすぐ分かると指摘している。
「南方都市報」は全国政協委員の言葉を引用して次のように指摘した。低すぎる貧困ラインにより、億単位の都市住民は人為的に「貧困から脱却させられた」。2011年3月、国務院貧困扶助事務室主任の範小建氏はメディアの取材を受けているとき、「中国の貧困ラインの基準は引き上げなければならない」と表明した。
「南方都市報」の文章では、貧困ラインの基準を上げれば、貧困人口が多く増えることを意味しているが、これによって庶民の生活の感覚を変えることはできない。貧困ラインの基準が上がるかどうか、貧困に対する切実な感覚は何も変わらない。「お腹いっぱい食べられる」ことは、すでに貧富を判断する基準にはならない。教育、医療と基本的な社会保障が、国民の生活に欠かせない事実になっていると指摘した。
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