【大紀元日本8月17日】14日に大連市で発生した数万人規模の抗議活動で、現地政府は抗議者の要求を受け入れ、福佳大化の即時操業停止と移転を約束したが、同工場は15日も稼動していた。一方、昼間平和的だった抗議活動も、当日夕方に大量の武装警官が大連市に進駐し、抗議者と衝突したことが明らかになった。数十人が連行されたもよう。この急変した対応について、一部では内部権力闘争を指摘する声がある。
米VOAが目撃者の証言として伝えたところによると、同日夕方、遼寧省から
14日夜、遼寧省省都・瀋陽から派遣された大量の武装警察(ネット写真)
派遣された武装警察部隊が、催涙弾や唐辛子水などを発射し、抗議参加者に警棒で暴行を加えていた。数十人の大学生らしき若者が負傷。20人余りが連行された。一部では、現地の警官が他の警官の行動に反対し、警官同士が対立して、銃で乱闘する寸前だったとの証言も伝えられている。
一月前に大連市トップに就任したばかりの唐軍・書記は、他の地区の武装警察部隊の関与に反対していた。「大連のことは大連自身で解決する」と語ったという。
暴力に至る衝突があったかどうかの事実確認をするために、本紙記者が大連市公安局に電話取材を行ったが、回答を得られなかった。
翌15日、抗議発生地域では、武装警官が配置されて巡回が行われている。
15日、大連市第六中学校で待機する武装警察(ネット写真)
一方、今回の抗議事件について、外国の大手メディアは揃って、中国政府が即座に市民らの要求を受け入れていたことに意外感を示していた。
匿名の情報筋が本紙に寄せた情報によると、大連市政府内部には権力闘争があり、抗議事件を容認する派閥がある。前任の大連市トップ、夏徳仁氏は在任中に多くの大型プロジェクトを手掛け、本人自身の汚職もひどく、そのツケがいま、後任に回されている。問題の化学工場は当初から、環境汚染の理由で関連機関から建設許可をもらえなかったが、夏徳仁・前書記の働きかけで許可された。先月中旬にその後任となった唐軍・書記はそれらの責任を背負いたくないとみられ、抗議事件発生直後に同化学工場の移転を約束した。
一方、現在、遼寧省の副書記となった夏徳仁氏は移転を承知せず、遼寧省から武装警察部隊を調達して、武力で抗議を沈静化させようとした。
また、唐軍・書記が約束した同工場の「即時操業停止」も実現されることはなかった。ロイター通信によると、15日の月曜日も工場は平常通り操業を続けており、情報筋によると「操業変更の知らせはない」という。
ある市民は本紙取材に対して、現地政府が発表した工場の操業停止と移転が実行されるか見守っていくと話し、「本件は警察、幹部をも含めて市民全員の切実な個人利益に関わっているため、約束が守られなければ、抗議は再発するはず」と語った。
ドイツの国家ラジオ局ドイチェ・ベレは、オランダ在住の中国人時事評論家・立里氏の見解を伝えた。今回の大規模な抗議活動は自発的であるとし、中国では、他人の被害について、立ち上がって声援する人は少ないが、今回は市民全員の共同利益に触れているため、集団行動が形成されたと同氏は分析し、「このような抗議行動はこれからも絶えず発生するであろう。中国政府の弾圧はあまり効かなくなる」と語った。
報道によると、今回の抗議参加者の中には、若い世代の中産階級や富裕層が多くいたという。「彼らの政府への影響力は一般庶民よりはるかに大きい」とAP通信は分析する。
なお現在、新浪微博(ミニブログ)などでは「大連」が敏感語となり、ブロックされている。
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