【大紀元日本7月27日】中国農業科学院の専門家がこのほど、化学肥料と農薬の大量使用により、耕地の質が低下し、食糧生産量維持が危うくなる可能性がある、と警告した。
中国農業科学院のデータによると、50年代、東北の肥沃な農地には8%から10%の有機物質が含まれていたが、現在は1%から5%にまで低下している。耕地の肥沃さと食糧生産量はこの有機物質の含有量で決まるのだが、耕地の3分の1に、耕作層の土壌の貧栄養化問題が現れているという。
並行して、中国農業における化学肥料使用量は、1985年の1776万トンから昨年は5460万トンにまで増加している。2007年から中国は世界最大の化学肥料消費国となり、同時に毎年130万トンの農薬を消費している。これは1畝(6.667アール)あたりの国際平均の2.5倍の使用量だ。
現在、中国人1人あたりの耕地面積は0.1ヘクタールにも満たず、世界平均の半分、先進国の4分の1にも満たない。米国の6分の1、アルゼンチンの9分の1、カナダの14分の1である。
農業に関する情報ネット・神農網によると、過去30年で当局は食糧の自給自足を実現させるため、一定の耕地面積を前提に食糧の単位面積生産量の向上を強調してきた。だがこれは化学肥料で補う必要があり、農民に絶えず農薬や化学肥料の使用量増加を強いる原因となった。
また、国土資源部が09年12月24日に公表した『中国耕地の質量等級調査と評定』によると、全国の耕地品質等級が全体的に低いことが明らかになっている。
評定は15等級に分かれており、調査によると、全国の平均耕地品質等級は9.80と低く、優等、高等、中等、低等の耕地面積の各割合はそれぞれ総評定面積の2.67%、29.98%、50.64%、16.71%。また等級が10から15の耕地面積は総評定面積の57%以上を占め、全国で一畝当たり1トン生産できる耕地は、わずか6.09%という結果となった。
中国農業科学院の農業資源・農業区画研究所の張維理副所長は、80年代以前は、耕地土壌の生産能力低下の主な原因は、窒素とリンの不足であった。その後、化学肥料の投入量が増加するにつれ、「低、費、汚」が徐々に全国の耕地土壌品質の新たな核心的問題となった、と指摘している。
問題の「低」は主に基礎地力の低さを指し、施肥していない時の耕地本来の養分から生産される量を指す。「費」は耕地の保水保肥力が良くないことが原因で、増産あるいは高生産を維持するために化学肥料、農薬、ビニールシート、灌漑用水に出費がかさむことを指す。
「汚」は土壌汚染を指し、主な汚染源は工業や都市から排出される汚染物質と、農薬やビニールシートなど化学製品の過度で不合理な使用、畜産飼育場が排出する環境ホルモンを多量に含むフンや廃棄物が使用されていることに由来する。
これと同時に、農産品の安全問題が存在する。大量に使用される農薬や化学肥料の中に含まれる亜硝酸塩、重金属など有害物質が食物連鎖に入り込み、人体に危害をもたらす危険性がある。飼料と畜産品の安全、動物の疫病抑制も農産品の品質や安全にとって重要な一環だ。
農業用化学製品やエネルギー投入だけに頼るやり方は袋小路に入り込むようなものだ。耕地の基礎地力を向上させ、土からの食糧生産の維持をはかることで、将来の食糧安全に対する長期的効果が望める。食糧の安全保証において必然的な選択であると張副所長は述べた。
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