【大紀元日本6月30日】ダルフールでの大量虐殺などの戦犯容疑で国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ているスーダンのバシル大統領が28日、中国を訪問。中国政府により、破格の待遇であるレッドカーペットで盛大に迎えられた。人権団体から「国際戦犯の避難所」と批判されている中国。専門家らは、「石油獲得のため、(そのような批判など)中国は意に介さないだろう」と中国の利益至上主義を批判した。
当初予定されていた27日より到着が1日遅れたことについて、スーダン政府メディアによると、経由国のトルクメニスタンが米国の圧力で領空通過を禁止したため、やむを得ず路線を変更し、イランの首都テヘランに一時着陸したという。
人権団体のアムネスティ・インターナショナルは同大統領の訪中について「受け入れられない。極めて失望した」とコメントしている。
中国外交部(外務省)の洪磊報道官は28日の定例記者会見で、中国はローマ条約に加盟しておらずICCのメンバー国でもないため、国際刑事裁判所の決定には態度を保留するとともに、バシル大統領の中国訪問に問題はないとの見解を示した。さらに、同大統領を「友好国の指導者」と称して、「他の多くの国に歓迎されるように(バシル大統領は)中国でも歓迎される」と国際社会の批判を一蹴した。
専門家によると、スーダンの原油の60%が中国に輸出され、中国の原油輸入量の6%を占めているという。ある専門家は、「原油があるからこそ、国際社会に非難されても、スーダンのような悪評高い国との関係を維持しようとしている」と指摘した。
元駐米エチオピア大使のデービット・シン氏はVOAの取材に対し、中国はスーダンに強い影響力を持つと話し、その理由は「スーダンに石油があるから」としている。
現在、アフリカ諸国の中で、スーダンは中国にとって第三位の貿易相手国であり、中国はスーダンにとって最大の貿易相手国となっている。中国はスーダンに対し、経済面だけでなく、長年にわたって武器を提供するなど軍事面でも援助を続けてきた。
バシル大統領は、中国国営新華社通信の取材に対して、「中国は誠意ある真の友人」と褒め称えた。
2003年2月に起きたダルフール紛争における大虐殺で、西側諸国から経済制裁をかけられた際、スーダンは中国から提供された多額の資金で苦境から脱した。
しかし、スーダンの石油の75%は、スーダン南部にあると言われている。その「南部スーダン」は今年7月9日に独立を予定しているが、石油の収入や財産の分割方法などについて、まだスーダン政府との間で結論は出ていない。
バシル大統領の今回の訪中は、このことに関連しているとの見方が出ている。元駐米エチオピア大使のシン氏は「中国は南北スーダンの双方と良好な関係を保とうとしている」と指摘し、また中国国内紙も、中国がスーダンの南北関係を斡旋していると報じている。
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