【大紀元日本6月29日】北京と上海を結ぶ「京滬高速鉄道」が間もなく開通する。「ドル箱路線」と期待されるこの路線のほか、中国では現在すでに、北京―天津線、武漢―広州線、鄭州―西安線、上海―南京線、上海―杭州線の計5本の高速鉄道が運行している。しかし、この5本の路線はどれも「乗車率の確保」という課題をかかえており、深刻な赤字経営に陥っている。上海有力紙・新民晩報が伝えた。
同報道によると、鉄道当局がデータを公開していないものの、「高速鉄道の低い乗車率とひどい赤字はすでに周知の事実」だという。中国は人口が多いのに高速鉄道に乗る人が少ないのは、多くの中国人にとって運賃が高過ぎるからだという。上海市の同済大学の孫章教授は、「1人あたりの国内総生産(GDP)は世界100位にも入っていない」と、世界一の速度を誇る中国高速鉄道の乗車率の低迷を説明する。
新しく開通する北京―上海線の運営は、単に「飛行機利用客を分散させる」ほど簡単ではないと同記事は指摘し、経済と社会の発展を辛抱強く待つしかないと分析する。同路線が開通後、時速300キロに加え、250キロ走行も行うのは、乗車運賃をできるだけ安く抑え(最低運賃410元、約5000円)、乗車率を確保するためだという。
さらに記事は、北京―上海線の設定時速が380キロに対し、実際の走行時速は300キロと250キロという遅い時速になっていることに関して、「ダブル時速運転において、このほうがダイヤの管理をしやすく、路線の運行効率が高い」と、鉄道省の胡亜東・次官の話を引用して伝えた。さらに当初の設定である350キロと250キロの組み合わせは、300キロと250キロの組み合わせよりも効率が2割ダウンするため、採用しなかったという。
一方、こうした運行速度の引き下げについて、中国鉄道省元幹部の周翊民氏は21日、当初設定した350キロの時速は、汚職で更迭された劉志軍・前鉄道相が世界1位に固執し、安全性を損なっても速度を優先した無理な設定だと暴露した。中国は、日本とドイツから導入した技術を元に独自技術で時速380キロの営業速度を実現したとしていたが、この速度は日独が試験走行で達成した速度に近い速度である。それを営業速度とすることは、実際走行時の安全考慮を無視した設定だと指摘した。
当局は周氏の発言を否定しているが、新民晩報の報道によると、7月1日から現在運行中の上海―南京線、鄭州―西安線、武漢―広州線の営業時速はいずれも350キロから300キロに引き下げられるという。