【大紀元日本6月14日】ノーベル文学賞の審査委員で、スウェーデンの中国学研究の権威であるゴラン・マルマグィスト(Goran Malmqvist)氏はこのほど、自身のことに関して中国当局が事実無根のデマを流したことを厳しく非難する内容の公開状を発表。その中で同氏は、中国の名門大学の一つである清華大学の李希光教授が、同氏に関連するデマ情報を公式サイトで発表したとして、李教授の行為は良識が欠如したものであり、中国名門大学の名誉および中国メディアの名誉を失墜させたと非難し、今後、中国当局との関係を一切絶つと宣言した。
不可解なデマに抗議
米VOAの7日の報道によると、今年87歳のマルマグィスト氏は欧州で著名な中国学研究者であり、ノーベル文学賞の終身審査委員でもある。同氏の公開状の言葉は非常に厳しいものであるが、一方の李希光教授は同氏の非難に対して、まだ反応を示していない。
報道によると、ことの発端は、中国の青年作家・張一一氏が今年4月下旬、自身のブログで発表した次の内容である。
その内容とは、張一一氏がマルマグィスト氏に60万ドルを供与して自分の著書の翻訳を依頼するとともに、2011年度のノーベル文学賞受賞のために、関連各方面に働きかけることをマルマグィスト氏が約束したというもの。
これに関連して、清華大学の国際伝播研究センター主任・李希光教授は5月中旬に、オフィシャルサイトで「マルマグィスト氏が、張一一氏からの謝礼60万ドルを受け取り、ノーベル文学賞の受賞候補に推薦すると約束した」と記した。
これに対し、マルマグィスト氏が清華大学の学長に宛てた公開状には、李教授の記述を全面否定して、次のように記されていた。
「有名な清華大学の教授がデマを流していることについて、私は非常に驚いている。私が60万ドルの賄賂を受け取り、某作家の作品を翻訳し、その作品を他の審査委員に宣伝して某作家にノーベル文学賞を受賞させようとしたとして、私を非難しているが、私はその作家とは全く面識がないのだ」
この公開状は中国国内の有力紙・南方都市報にも送られた。同紙記者に対して、マルマグィスト氏の妻は、「私たち夫婦は、張一一氏とも李希光氏とも、全く面識がない」と説明した。
名門大学「メディア学院副院長」の疑われる良識
フランス国際ラジオ(IFR)の6日の関連報道では、同氏の公開状での次の言葉を報じた。
「清華大学は中国の最も有名な大学だが、李希光氏のような人が教授であり、大学内のメディア学院の副院長であることから、欧米の学者による中国の大学への見方が変わってしまう恐れがある」
一方、李希光教授は、本件に関する情報源は外国メディアであると説明し、南方都市報の記者の質問に携帯メールで回答して、その情報の出所はウェブ上の情報サイト「中国広播網」であると主張した。中国広播網の情報源はほとんど「外国メディアによると」となっているため、李希光教授もオフィシャルサイトでの本件の書き込みについて、「外国メディアによると」としていたという。中国広播網は、中国国営の主幹ラジオ局「中央人民広播電台」が運営するウェブサイトである。
マルマグィスト氏の妻は、中国のインターネットの情報の多くは「外国メディアによると」としているが、当該メディアの具体的なリンクを明示しないため、李教授の主張は「きわめて荒唐無稽である」と非難した。
南方都市報は、マルマグィスト氏の妻の話を引用して、「李希光氏は、清華大学内のメディア学院の教授でありながら、このようなニュースについて、情報源を調べずに転載する。つまり、この人物は専門知識がない上、学術上の良識もない」と報じた。
中国官方に「断交」宣言
南方都市報によると、マルマグィスト氏は5月19日、駐スウェーデンの中国大使館宛ての公開状も発表した。その中には、次の内容が記されている。
「当初、私は本件をおかしなドタバタ劇だと受け止めたが、後に、李希光教授がオフィシャルサイトで張一一氏のデマ情報を掲載したと知った。だから私は今日から、中華人民共和国の官方および駐スウェーデン中国大使館と一切の関係を絶つことにした」
マルマグィスト氏は、「私のこの決意は中国当局にとって、どうでもいいことだが、私個人にとっては重大な意義を持つ」と語った。
張一一氏はかつて、「中国のもっとも物議を醸す作家」と呼ばれ、その長編小説『我不是人渣(私は人間のくずではない)』は2005年ノーベル文学賞の候補に選ばれていた。
本件について張一一氏は、中国の南方都市報と環球時報英語版に対し、「60万ドルの謝礼金は事実である」と一貫して主張している。
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