【大紀元日本6月7日】仏主要経済紙「ラ・トリビューン」によると、イスラエルは自国での砂漠緑化の成功後、中国でも緑化を試みているという。イスラエルの水処理技術は世界屈指であり、特に海水の淡水化と灌漑技術は得意な分野である。RFIフランス国際放送が伝えた。
イスラエルの水処理企業数社はすでに中国に進出しており、巨大な中国市場を戦略発展の目標としている。イスラエルのIDEテクノロジーズ社は天津の発電会社と毎年7300万立方メートルの海水を処理できる海水淡水化工場建設の契約書に調印しており、同プロジェクトが完成すれば天津市民1200万人に飲用水を提供できるだけではなく、発電所の運転需要を満足させることも出来るという。
天津の海水処理プロジェクトのため、イスラエルはいくつかの投資銀行と基金参加を組み合わせた。ラ・トリビューンによると、9つの金融機構が天津の海水淡水化プロジェクトに加盟しており、その中には中国発展銀行とイスラエルの投資グループであるインフィニティー・I-チャイナも含まれ、同グループはエネルギーと水処理領域の投資業務を行う。
ここ数年、イスラエルの冬は干ばつに見舞われており、飲用水が不足している。このような苦境が同国の水処理技術の急速な発展を刺激した。現在、700万の人口に対し、166社の水処理会社があり、その中には世界最大の海水淡水化企業3社が含まれている。イスラエルの水処理企業は海外向けて技術とサービス輸出に力を入れており、その輸出額は毎年15億ドルに達する。
国家による治水投資プロジェクトはどの企業の手に
イスラエル水処理企業の中国進出は願ってもないチャンスと考えられている。中国の12次5カ年計画は環境保護領域に傾倒しており、政府の水処理インフラ設備への投資額は大幅に増加されている。2011年から2015年まで、中国は廃水処理に7700億元、水供給システムの改造に147億元をそれぞれ投資する予定である。このように大規模な治水投資を、中国の企業も虎視眈々と狙っている。
この先5年の間に、中国では水処理企業が300社現れると見られているが、大型プロジェクトを手掛けることが出来るのは大型上場企業や各種の国有企業に限るとアナリストは考える。北京水道水グループはこのような企業で、北京市政府に属する同企業は、北京地区の水供給、再生水と汚水処理、水関連工事や資材、電気メーターの製造などを兼営している。同集団は香港で上場しており、市価は22億ドルに相当。同類企業の中で最有力企業である。次に中国水務グループ有限公司が市価5億7000万ドル。このほか中国光大控股有限公司も水処理プロジェクト参入の準備を進めているが、同社の目下の主要業務はゴミ処理とゴミ焼却による発電である。
国有企業運営の不透明さ
ラ・トリビューンは香港の業界関係者の言葉を引用し、これらの中国大型国有企業はみな巨大な利益が望める領域を通じて発展してきた。彼らは通常いくつかのプロジェクトを同時に運営する。水処理工場を建設することが出来、水供給にも参与し、設備工場も運営できる。その後も全ての工場や業務を国に売ることもできるという。しかしこれらの国有企業は通常、利益を上げる周期が長く、莫大な資金を必要とする。経営が透明度に著しく欠け、資本増加を理由に資金の取り込みを狙うことが多いという。
地方政府の経済モデル
このほか、中国市場は通常大型上場企業と多くの小企業に分配されている。また市場占有率を獲得できる多くの小企業の背後には地方政府の支持が存在している。以前、負債が累積した地方政府は土地売却に財源を頼っていたが、現在は地価を値上げし続けることが出来ず、風力エネルギー発電の管理や、ガス管接続工事費あるいは水道料金引き上げといったその他の方法に財源を探している。この先5年、中国の水道料金は8%から20%引き上げる必要があるが、現在のインフレを鑑みるとこの引き上げ幅は大きすぎる。「中国は地方政府の生存に有利な経済モデルを発展させており、このことが多国籍企業の中国での市場開拓の難易度を増加させている」とラ・トリビューンは指摘した。