中国の食糧大量輸入、国際市場に重圧

2011/05/28
更新: 2011/05/28

【大紀元日本5月28日】中国では経済成長にともない食生活が急速に変化しつつある。米や小麦粉の消費量が減少し、肉類、たまご、乳製品の消費量が急増している。増加した食糧需要を自国でまかなえなくなった中国は、海外からの輸入を増やし、それにより、世界の食糧供給がいっそう深刻になっている。米VOAが伝えた。

ワシントンDCにある国際食糧政策研究所(IFPRI)研究員・張暁波氏は、中国の食糧需要問題が海外に及んだおもな理由は「飼料需要が増えた」からだと指摘した。「経済発展の初期には人々の生活が少しずつ豊かになり、肉などを食する機会も増える。動物用飼料の需要もそれにともなって伸びていく」と分析し、中国はヒト用食糧と畜産飼料の輸入が同時に増えているが、飼料のほうが大きな割合を占めていると説明した。

また、バイオ燃料の生産に、中国はアメリカからトウモロコシの輸入を増やしていると米穀物協会が明らかにしている。

22日のワシントン・ポスト紙によると、中国は昨年アメリカから200億ドル(約1兆6000億円)の大豆を輸入しており、10年前の3倍となっている。また、今年の対中大豆輸出量は連続4年記録刷新の2500トンを超すと、米大豆輸出協会の駐中国事務所張小平主任が予測している。

さらに、米地球政策研究所は、中国は今年小麦を大量輸入すると予測し、すでに高騰している食品価格がさらに上がるとみている。一方、中国政府の統計によると、中国の今年の食糧価格は7%上昇したため、中国当局は緊急食糧備蓄を放出する一方、米、小麦等の主要製品の投機や買い溜めを厳しく規制したという。

中国が国際市場から大量に食糧を買い入れることによって、国際食糧供給問題に重圧をかけている。世界銀行総裁のロバート・ゼーリック氏は、世界の主要な食糧の備蓄は史上最低レベルに近づいていると強調している。「仮にどこかの大国で深刻な食糧不足が起きたり、大規模な天候不順が発生した場合には、世界的な食糧危機に発展する危険性が高い」と警告した。

(翻訳編集・余靜)