江西省で連続爆破 容疑者、10年間の陳情に絶望

2011/05/27
更新: 2011/05/27

【大紀元日本5月27日】中国江西省撫州の地元政府などで26日、連続爆破事件が発生し、少なくとも2人が死亡、6人が負傷した。容疑者は地元の無職男性(52)で、強制立ち退きなどで当局の対応に怨恨を持っていたという。同容疑者は爆発により死亡した。

国内メディア・長江商報によると、爆発は午前9時18分から約30分間で、撫州市検察庁舎の駐車場、同市臨川区行政センター地下車庫の出入り口、同区薬事監理局近くの車両で連続して起きていた。

同報道によると、1回目の爆発で、駐車場に止めていた車3台が焼け焦げ、8階建ての庁舎のガラスがほとんど割れた。2回目の爆発はさらに衝撃が大きく、車の部品は100メートル以上吹き飛ばされ、建物の窓枠は外れ落ちていたという。

一方、死亡した銭明奇・容疑者はミニブログで、自身が強制立ち退きと不当な保障金差し押さえを受けたことを明らかにし、そのため、10年間もの間、陳情し続けたという。「10年間が無駄だった。私は取りたくない方法を取らざるを得ない」と犯行をほのめかした。また、「実際の行動で庶民のために害を取り除く」「腐敗の根源は裁判官にあり!(中略)今日は庶民が弾圧されるが、明日は腐敗権力者の末日となる。子供の世代のために、行動を起こそう。私、銭明奇は最後の行動で公平と正義を取り戻すのだ」と、検察までも絡む当局の腐敗に対する絶望が、事件を起こした引き金となっていることが窺える。

事件後の報道にはいつもの規制がかかっている。被害状況の報道はあるものの、事件の動機についてはほとんど触れられていない。新華社通信は最初の報道で、容疑者の動機は「審理中の案件と関連する」可能性に言及したが、後にこの報道は新華社を含め、多くの政府系サイトから姿を消している。なお、ミニブログなどの書き込みでは、容疑者に同情する声がほとんどで、「官が民をそうさせている」「民衆の自発的抗議活動は、今後、明確な目標を伴う行動になるだろう」との意見が寄せられている。

一方、爆発は銭容疑者が起こした3回だけではないとの情報もある。新浪ミニブログに寄せた目撃情報によると、同日午後3時45分、市の体育館付近では4回目の爆発が起きた。本紙が取材した地元住民何さんは、地響きのような爆発音が2回聞こえ、止まっていた車は激しく損傷したと、この爆発について証言している。また、午後4時に予定されていた午前中の連続爆破に関する記者会見が直前になって中止され、その理由についての説明はないという。BBC(中国語版)は、これは当局が類似事件の発生を警戒して取った措置だと分析している。

(翻訳編集・張凛音)