【大紀元日本5月23日】国際通貨基金(IMF)前専務理事のドミニク・ストロスカーン被告(62)が、ニューヨークのホテル女性従業員への強姦未遂罪などで起訴されたニュースが、この一週間欧米ではホットな話題となっている。
東北大地震が発生した3月11日にちょうど来日した同氏のスキャンダルについて、日本でも話題となっている。マーケットウォッチ東京報道局の編集長Lisa Twaronite氏は関連の評論記事でこのように記述している。「地震やらカーンの起訴やら両方とも驚くものだ。この二つの出来事は、アジアで日本の最大のライバルである中国にとって有利になるかもしれない」
確かにカーンのスキャンダルは中国でも注目されている。それは当局にとっては、IMFトップの座が空くことによってチャンスが中国に回ってくるかもしれないという期待感。一般市民にとっては、ストロスカーンのスキャンダルは、あくまでも政府報道の論調のような「米国による陰謀論」にしか映らない。ホテル女性従業員への強姦がスキャンダルになるほどの深刻な事態だとは中国人は思っていないようだ。
ストロスカーン被告のスキャンダルとほぼ同時期に欧米で話題になっているのは、カリフォルニア州の前知事で俳優のアーノルド・シュワルツェネッガー(63)の隠し子騒動。家政婦との間に14歳になる男の子をもうけていたことを自ら妻に告白したことで、離婚騒動に発展した。この事件も中国でかなり報道された。
しかし、この二人の事件について中国人読者の関心は、スキャンダル自体というより、なぜその程度のことでスキャンダルになるのか、そしてなぜ中国で多少地位がある幹部なら誰でもしていそうなことが、自由奔放の西側世界で大きな騒動になっているのかということだ。中国人湖南省のあるネットユーザー「HNのお嫁さんほしい」が、自分が思った「不思議」についてネット掲示板でつぎのようにコメントした。
「カーンとシュワルツェネッガーのスキャンダル事件はこの1週間、我々中国人にあることを教えてくれた。今まで伝わってきたプレーボーイ溢れるアメリカ、ロマンチックなパリ、風俗娘いっぱいのアムステルダムなどのイメージは今、中世期にしか見られず、世界で性的に最も開放的な国はやはり我々中国なんだ。
フランスの元財務大臣でIMFの専務理事がホテルで従業員にナンパしたり、世界的に有名なスーパースター、カリフォルニア州の元州知事が自分のメイドさんと関係を持ったことが事件になるなんて、もし海外メディアで広く報道していなければ、普通の中国人である私の頭ではどうしてもこれを事実として信じることができない。政治的な権力は別にして、ほんとに理解しがたいことがたくさんあるものだ。だって彼らは金持ちで権力者だし、周りにきっとたくさんの美女がいるだろう。彼らの身分から考えたら、世界各地に複数の愛人がいるのはあたりまえだろう。(中国なら)どんな高級クラブに行っても、また女子大生や女優とも、遊びたかったらすぐできるだろう。
しかし今回の事件に関する報道から見るに、国内で日常茶飯事のように起きていることが、西洋社会では大都市でさえ起きていないようだ。西洋社会の大都市の夜の生活は、私がいるこの小さな町にも及ばないようだ。カーンがレイプしようとしたホテルの従業員だって、毎日の仕事が辛くないのか。せっかく世界の貨幣を管理するオヤジにあったのだから彼の欲望を満たしてあげれば、なんと(素晴らしい)結果になるのか想像してみようよ。もしこの二人のスケベ親父が私の町に来たら、同じことを千回やっても絶対スキャンダルにならないだろう」
「HNのお嫁さんほしい」が思ったことに、きっと多くの中国人ネットユーザーが共感を覚えるに違いない。ミニブロガーのコメンテーター「LLee」に言わせれば、「アーノルドのスケベ度は天朝(共産党中国を指す)の幹部には遥かに及ばない」。そして「こんなに地位を持っている人物が隠し子を持つことでどうして騒ぎになるの?中国では、小さな村の幹部でも、何人かの愛人が持たないと恥ずかしくてメンツがたたない」「カーンの行為は、中国ならただ『幹部が女性の部下と談話する』程度のことだろう。米国ではレイプになるの?」などの発言もミニブログで多く見られる。
カーンとシュワルツェネッガーのスキャンダルの話題とほぼ同時に、先週、中国では有名な資産家・王功権が、同業の女性投資家と駆け落ちしたニュースがネット上で熱い話題となっている。両方とも家庭を持つ二人の駆け落ちは、ネット上で非難を受けるどころか、賛美されるばかりだった。カーン、シュワルツェネッガーと王功権の三人の事件を比べてコメントしたあるブロガーがこのように書いている。「男性なら、女性関係でミスを起こしてしまうのは普通で自然なことで、そこまで噂されることなのか」
確かに、このブロガーが言った通り、中国の幹部たちのスキャンダルにすでに免疫力が付いている中国国民にとって、カーンとシュワルツェネッガーが起こしたミスは中国では極普通で自然なことである。毎日、新聞紙やネットの読者は、どこかの幹部たちの「性愛日記」を簡単に目にする。昨年誰かにネット上にアップされた地方幹部・韓峰の性愛日記に、彼はこのように綴っている。「今年は好運だ。こんなたくさんの性パートナーがいる。私は健康に気を付けないと。。。」。5人の女性部下と同時に関係を持つことで誰かの気に障ったことから、その日記がネット上に公開されてしまった。韓局長は地元の警察局に「プライバシー侵害」として訴えたが、その後罪を問われて拘束されたという。ただし、その罪は別に女性関係ではなく、日記の中に記録されていた賄賂が原因だった。
しかし中国人ネットユーザーに言わせると、韓峰の女性関係や賄賂の度合いともに、ほかの幹部と比べれば非常に軽く、「良い幹部」だという。摘発された腐敗幹部の愛人関係をまとめた中国国内の報道によると、最も多くの愛人を持つ幹部は、江蘇省の土地開発を管理する幹部で、その愛人は146人もいたという。安徽省宣城市の元書記は、習ったMBAの知識を用いて7人の女性との関係を維持したという。これらの女性関係が乱れている幹部はほとんど高額の賄賂と絡んでいる。前中国鉄道部トップの劉志軍は今年2月、18人の愛人を同時にもっており、15億ドルを超える賄賂を受けたとして免職の処分を受けた。
そうした中国の腐敗幹部によってスキャンダル問題に免疫力が付いた中国のネットユーザーにとって、カーンとシュワルツェネッガー程度の行為がどうして大騒動になるのか、不思議でたまらないのだろう。
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