「ネット検閲の父」、靴投げつけられる 中国人ツイッターが喝采

2011/05/21
更新: 2011/05/21

【大紀元日本5月21日】中国で「ネット検閲の父」と呼ばれる人物がこのほど、公開講演の現場で生卵と靴を投げつけられる事件が発生した。

北京郵電学院の方濱興・学長は、中国当局が都合の悪い情報を遮断するための国家規模のネット検閲システム「グレート・ファイアウォール」(GFW)の開発責任者であり、「ネット検閲の父」と呼ばれている。4億人もいる中国のネット使用者を自由な情報から遮断するこのシステムの開発者として、方氏は中国のネットユーザーに嫌われる人物で、しばしばネット上でネットユーザーに糾弾されている。

19日午後、方氏が武漢大学で関連テーマの講演を行っている際に、学生から生卵と靴を投げつけられた。卵は外れたが、靴は命中した。氏にけがはない。現場の警備関係者は靴を投げた学生の身柄を確保しようとしたが、現場にいた学者に阻止されて、学生は無事に脱出できたという。

情報によると、今回の講演の日程が公表されて以来、講演会場での抗議活動を呼びかける声がインターネット上で発せられた。特に、ツイッターの間で、現場で方氏に物を投げつける人物に懸賞を出すという書き込みが広まっていた。「方濱興に物を投げつけることで中国のインターネットを救おう」との呼びかけだった。

19日の事件発生後、「その靴を買い取りたい」「この人は英雄だ」などの称賛のコメントが相次ぎネット上に寄せられた。

また、事実であるかは不明だが、ネットではこのような書き込みもあった。「事件後、方濱興氏が主催者に怒りをぶつけた。『彼らは前からツイッターで本件を企んでいたそうだ。なぜ、対策を講じなかったのか』。主催者側は、『例のツイッターは我々はアクセスできません。封鎖されているためです。だから、事前に何も知りませんでした』と答えたという」

ネットユーザーの「中国ネット検閲の父」への怒りはこれだけではなかったもようだ。報道によると、去年12月、同氏はブログを開設したが、数時間以内に匿名のネットユーザーたちから数百通の批判コメントが殺到したため、氏はそのブログをすぐに閉鎖した。

今回の講演会場を訪れたというネットユーザーは「ネットの情報検閲・封鎖に関して、中国の技術は確かに世界の先端にある」と書き込み、自分は当局のネット封鎖を突破できるソフトを購入して封鎖されるサイトを閲覧してきたが、最近ではその封鎖が一層強くなったため、一部は閲覧できなくなっている、と話した。

一方、靴を投げつけられた方濱興氏だが、講演では依然として、「中国のネット検閲・封鎖は必要で、理に適っている」などと語っていた。

インターネットでの情報伝達の作用はますます世界に注目されている。直近の中東地区での民主活動「ジャスミン革命」は、エジプトの独裁政権を崩壊させることができた。その要因の一つは、Facebookなどのサイトが抗議者と市民の間の情報伝達に重要な役割を果たしたことだ。

いまでは、中国国内では「エジプト」「ジャスミン」などの関連キーワードも当局の情報検閲・封鎖の対象となっている。

米国のヒラリー国務長官は今年初め、米国政府がインターネットでの情報の自由伝達を守るため、2500万ドルの予算で独裁国家のネット封鎖を突破できる技術を開発し、ユーザーに提供する、と公表した。

一方、中国当局は、「中国のネットユーザーは法律に基づいて言論の自由を享有している。如何なる国もネット自由の口実で中国の内政に干渉してはならない」と主張している。

(翻訳編集・叶子)