【大紀元日本5月13日】9万人が死亡・行方不明となった四川大地震は、5月12日に発生から3周年を迎えた。
国務院の温家宝首相は10日、被災地を視察し、居住問題も就業問題も解決されたとして、「決定的な勝利を収めた」と復興ぶりを讃えた。しかし、震災の中で多くの児童・生徒の命を奪った校舎の手抜き工事問題については言及しなかった。一方、香港紙・リンゴ日報は10日、香港政府が拠出した90億元の支援金で建設された中学校の校舎は、非常口が減らされるなど安全基準に満たしておらず、再び手抜き工事の疑惑が浮上したと報じた。
手抜き工事が再び
四川大地震の中で7千棟近くの校舎が倒壊し、死亡・行方不明者の2割に当たる1万9千人の児童・生徒が亡くなった。その原因は材料不足や手抜き工事だと中国の建設相も認めている。温首相は地震直後、原因究明の決意を涙ながら語った。
しかし、リンゴ日報によると、香港政府は昨年8月に支援金で建築された5つの校舎を検査したところ、建物の構造から設備まで設計図通りに施工・設置されていないことが発覚したという。
1500人を収容する2階建の学生食堂に非常口は二つしかなく、事故発生時に将棋倒しの事件が起こる恐れがある。まだ使用前というのに、すでに水漏れが見られた。予定されていたエレベーター区画は昇降機が設置されず、ただの部屋となっている。
ほかにも、窓の開閉の不具合、転落する恐れのある階段、非常口の標識の未設置、消火栓の設置ミス、エレベーターの扉幅の改ざんなど多くの不備が見つかった。
実は昨年7月、震災で重大な被害を受けた四川省綿竹市で、完成直前の4階建住宅が倒壊するという事件があり、住民の間で再び手抜き工事が施されたとの疑念が広まっていた。
手抜き工事の調査で相次ぎ逮捕者
中国を代表する建築家の艾未未氏は、2008年12月より死亡した児童生徒の名前を調査する活動を開始し、2010年3月までに5212人の名前を調べ上げた。「政府に代わって約束を果たしているだけ」と語った艾氏は先日、脱税したとして勾留され、いまだに釈放されていない。
この調査に参加した四川省出身の市民運動活動家で作家の譚作人氏は、倒壊した校舎について調査するよう政府に呼びかけたところ、2009年3月に国家転覆煽動罪で逮捕され、5年間の禁固刑が言い渡された。
仮設住宅を強制立ち退き
震災3周年の復興ぶりをアピールするため、中国政府は仮設住宅を強制的に取り壊したとラジオ自由アジア(RFA)が現地住民の話として伝えた。綿竹市は5月1日までに仮設住宅を出ない住民に対して、停電、断水にするなどの措置を講じたという。
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