【大紀元日本4月12日】在米政治評論家・陳破空氏は2日、ニューヨークにある台湾会館で、「中国の政治と軍事の拡張」をテーマとした講演を行い、中国の軍事費と治安維持費の急増と「私有化への制約」の背後にある原因を分析した。ラジオ自由アジア(RFA)が報じた。
陳氏はまず中国当局が外部からの脅威がないにもかかわらず、段階的に軍事費を急増させた動機を分析した。その第1段階は1989年の後、軍事費は2桁の増加率で伸びた。陳氏は、これは_deng_小平氏が天安門学生運動を鎮圧した後に、軍隊へのお返しであったと指摘する。「天安門事件で、軍隊は虐殺をもって全国の民主運動を弾圧し、_deng_小平への支持を示した。_deng_小平はこれに大感激し『軍隊はテストを通過し、合格した』と評価した。以降、彼は軍事費を急増させ、軍人の大幅昇給や新装備の購入で軍隊に報い、軍人を抱き込んだ」と分析した。
第2段階は90年代、中国当局は台湾独立阻止を名目に、再び軍事費を2桁増加させ、台湾を照準とするミサイルを配備した。
第3段階は、米国が対テロ戦争に取り組み、中東やアフガニスタンに軍力を投じている隙に、中国は米国がアジアでできた空白を埋めるための支出を始めた。昨年では中国政府は南シナ海問題を、チベット問題や台湾問題と同等に扱ったことで、南シナ海周辺の東南アジア6国を警戒させた。また、米空母の黄海派遣についても当局は猛反発し、「ミサイル部隊をもって『徹底攻擊』する」と宣言していたという。数か月後、実際に空母ジョージ・ワシントンが黄海に入ってきた時、当局は公に何も言わなかったが、陳氏によれば、「時機を待っている」と裏で表明していた。
一方、昨年来、中国の国内治安維持費用が軍事費を上回り、昨年度では実際の支出は予算を300億ドル以上超過していると陳氏は明らかにした。「治安維持費の支出超過は、国民の反抗の激しさが当局の予想を上回っていることを物語っている」と陳氏は指摘し、治安維持費が軍事費を超えたことは、「内部の敵が外部の敵よりも警戒しなければならないことを意味する」と陳氏は分析した。
治安維持費をさらに超えているのは、公用車費と公費飲食、公費海外旅行の「三公費用」であると陳氏は指摘。中国中央テレビ(CCTV)が「両会(全人代と政治協商会議)」期間に明らかにしたデータによれば、共産党幹部による「三公費用」を合わせると9千億元(約11兆円)に上るという。
陳氏はさらに、中国の600以上の都市にある6千500万戸を超える空き家に、1戸あたり3人ないし5人を住ませれば、2、3億人の住居問題が解決できると指摘した。また、「三公費用」や治安維持費、軍事費なども国民のために使えば、中国人全体は中進国の生活レベルになれる、と陳氏は語った。
さらに陳氏によれば、中国政府が私有化を提案できない理由は、各レベルの汚職幹部がすでに国有財産を洗いざらい私有化し終わっているためだという。「もしも中国の国民が本当の意味での自分の財産、土地、企業を持つようになれば、当局は経済面で大いに不安を感じるだろう。私に言わせれば、今われわれが見ている発展は中国の発展ではなく、中国共産党勢力の増強でしかない。中国が脅威なのではなく、中国共産党が脅威である」と陳氏は指摘し、その脅威に中国と世界の人々が共通して直面していると陳氏は講演を結んだ。