【大紀元日本4月7日】「入土為安」。土に帰すことで死者が往生でき、生者は安心できるということを意味するこの言葉だが、最近では、「入土難安」に置き換えられている。墓地価格の高騰と墓地の使用期限の短さに、人々は自分の「最後の権利」が守られるかと不安を感じている。
5日は中国では、故人を弔うための「清明節」。しかし、今年の清明節は多くの人がお墓参りをしながら気がかりなことがある。「亡くなった親族はいつまでここで安息できるのか」ということ。
その心配は清明節の前に墓地に関するニュースが相次いだことからだ。4日の北京紙・法制晩報では、「墓地は永久使用できない」と民政部の規定として伝え、「最長使用年限は20年」、満期を迎えた時は契約延長の手続きをし、所定の費用を支払わなければならないと報じた。記事が掲載されて間もなく、コメント欄に「これじゃ安心して死ぬこともできない」「金稼ぎはとうとう亡くなった人まで狙うようになったのか」と批判の声が殺到した。
翌5日に、新華社は、「20年」は使用年限ではなく、費用が再発生する更新の時期だと釈明し、正確な使用年限は「50年から70年」だと説明した。年限は都市によって違い、最長は上海市の70年だという。
1日で解釈が変わる墓地の曖昧な規定。人々は故人の70年後の行方に不安を感じると共に、20年の区切りで生じる更新料などの諸費用がいつの間にか値上がりし、負担できなくなるのではないかと心配する。「生きている時は数百万元でやっと買った家も70年間の使用権しかない。死んだ後は安心してお墓で眠れるのはたった20年。これでは理不尽すぎる」と深セン市の李晶さんが英字紙、チャイナ・デイリーに語った。
人々の心配の背景には最近の中国の「お墓のバブル事情」もある。チャイナ・デイリー5日付の報道によれば、北京市内で0.5平方メートルの墓の価格が最近1年間で6万元(約75万円)から10万元(約125万円)に急騰した。北京市民の平均年収約5万元を超える水準という。深セン市でも1平方メートル20万元の「風水のいい墓地」が登場し、アモイ市では200平方メートルの広さの800万元の豪華墓地も売り出されている、と北京紙・京華時報が5日に報じた。南方日報は広州市の普通サイズの墓の価格は1999年の2万元から今の5、6万元に上昇し、「風水墓地」となると、10万元を超すと伝えている。
墓地価格の高騰は都市部の墓地用の土地不足が関連している。マンション並みに高騰した墓地価格に庶民は「死ねない」と嘆き、富裕層と言われる人たちも「金があっても墓地が買えない」と用地がさらに減少することを心配している。南方日報は上海市の幹部の話として、「上海では10年以内に死者の眠れる場所がなくなる」と伝えている。
墓地が買えない。お金があっても墓地はない。いったんお墓で眠っても20年で起こされるかもしれない。いま中国人は、「生為房奴、死為墓奴(生きている時は家のローンに喘ぎ、死んでも安息の地のコストで苦しめられる)」と嘆き、「最後の権利」までもままならないことに落胆している。