「中国はならずもの国家になってしまったのか」=コロンビア大学で討論会

2011/03/30
更新: 2011/03/30

【大紀元日本3月30日】豪シドニーモーニングヘラルド紙の駐中国記者ジョン・ガーノ(John Garnaut)氏がこのほど、コロンビア大学東アジア研究所において、「中国はならずもの国家になってしまったのか」をテーマとする討論会を開き、教師や学生と中国社会の現状について話し合った。ラジオ自由アジア(RFA)が伝えた。

ガーノ氏は自ら取材した事例を挙げ、討論会参加者全員に「ならずもの国家」という言葉を用いるのが適切かどうか判断してもらった。たとえば、退役軍人である于成武氏は退役後、黒龍江省富錦の土地を手に入れ、大豆の栽培をしている。80年代、現地政府は韓国資本を導入し、合弁会社を始めるという理由で農民から土地を収用した。結局、韓国人は来ず、プロジェクトも存在しなくなったが、政府は土地を持って行ったまま。そして徐々にその土地は職員やその家族の手中に落ちて行った。そして、その土地が農民に貸し出される。これはつまり、新たに形成された中国共産党幹部による封建制度である。もちろんこの制度は行政上の強制により保証されている。20年来、農民は土地のために抗争・陳情し、一方、幹部らはその陳情を阻止し、人を雇って農民を殺害する事件までも起こしている。

ガーノ氏によると、自分と話をした農民は捕まり、自身もしばらく拘束されたという。同氏は北京の記者会で富錦の状況について質問し、これに対し中央政府は関与するとの意思を示した。当時ガーノ氏はまだ中国滞在歴が短かったため、自分の報道が注目されたと喜んでいた。しかし2年後には、もともと乗用車が送られていた北京への賄賂が今は大型トラックに変わっていた。富錦は変わらなかったが、北京はさらに金持ちになった。

豪州の林さんという華僑が遼寧省で始めた500万元のダム建設プロジェクトに対し、運営開始後、現地水利局長が利益を図り、合資を提案した。しかし林さんがこれに同意しなかったため、局長はこのダムを爆破すると言ったという。結局、林さんはこのダムを局長に売るしかなかったが、保証金を渡されただけで、あとの支払金は郵送中と言われた。

ガーノ氏によると、この局長の兄弟は会社を設立しており、現地の建設会社にむりやり市場の2、3倍の価格で砂を販売している。殺人や刑務所へ送ることもいとわない。同氏が事の真偽を局長に尋ねたところ、兄弟と何の関係があるのかと言われたという。

重慶市の薄熈来市長は市内のやくざを一掃する運動をやっており、3千人を捕まえたと言われる。重慶市に3千人いるなら、全国では何人いるのだろうか。ガーノさんは、このことは、「共産党自身がならずもので、中国政府はならずものの集団によって掌握されている」ことを意味すると指摘した。薄市長は下級のやくざを捕まえただけで、政府内とコネのある、勢力の大きいやくざには手を出せるわけもない。

中国の政治体制は変わらないため、経済発展は中国共産党を世界で最も経済実力のある独裁者にした。幹部らは権利や地位に執着し、その地位がもたらす利益をなんとしても守ろうとしている。これにより驚くべき治安体制が作られている。中国の安定維持予算はすでに軍事費を超えている。「安定」は、当局が最も注目する問題から、唯一の関心事に変わり、全ての政策を捻じ曲げた。

中国共産党は利益を維持するため、海外では親共産党団体を育成し、彼らに忠誠心を誓うことを求めている。その見返りとして、彼らに中国大陸にあるビジネスチャンスを提供するのだ。そして、ナスダックのインサイダー取引により中国と関係のある投資と株式市場をコントロールする。

ガーノ氏は、中国人は3年前は仕方なく現状を受け入れていたが、今は次第に権利意識が高くなってきたと指摘した。中東のジャスミン革命は共産党の最後のベールを引き剥がし、人々はこの革命から中国との共通点を見出し、中国を公平な社会にするある種の力を望んでいる、とガーノ氏は述べた。

(翻訳編集・坂本)