【大紀元日本3月30日】中国食肉大手・双匯集団が生産した有名ブランドのハムから、中国で使用禁止されている化学添加物「痩肉精」が検出された問題が更に拡大している。広東省従化市動物衛生監督所が行った豚の通例検査で23日、同一ロットの24頭の尿から「痩肉精」の一種であるラクトパミンが検出された。広東省の地方紙「羊城晩報」が報道した。
その3日前の20日には、河南省の大手精肉製造メーカーの豚肉からも同様も検査結果が出て問題になったばかりであった。また最近では、ラクトパミン混入飼料で飼育され、検疫証明書が付けられた豚の関連製品を食べたことによる中毒事件が、上海市内で相次いで起きている。中毒者は300人以上で、全市18区のうち半数の9地区に被害が広がっている。数年前に中国社会を大きく揺るがしたメラミン混入の粉ミルク事件のように、中国各地で相次いで発見された「痩肉精」含有の豚肉問題が、再び国民の不安を引き起こしている。
羊城晩報によると、中国では豚肉の脂身を減らすために「痩肉精(赤身肉にするエッセンス)」と呼ばれるものが多く使われているという。これまで塩酸クレンブテロールが使われていたが、毒性があるために使用禁止となった。そこで、同様な作用を持つラクトパミンは、検査を行う地区が少ないことから、塩酸クレンブテロールの代わりに使用されるようになったという。また、サルブタモール、テルブタリン硫酸塩等の薬品も使用されるケースがあるという。
動物用の薬品である塩酸クレンブテロール、ラクトパミン、サルブタモール、テルブタリン硫酸塩等は、人体に入ると吐き気、目まい、無気力、手が震えるなどの中毒症状が現れる。特に心臓病や高血圧の患者への影響が大きく、長期にわたり摂取すれば染色体の変異をもたらし、悪性腫瘍を誘発することもある。ここ数年間、中国各地でこれらの薬品を含む豚肉関連製品を食用したことによる死亡事故が発生しているという。
実際、ラクトパミンに限らず、中国の僻地の農家では、豚の肌艶をよくし、一時的に生育効率を高めるために、安眠薬やホルモン剤などを飼料に添加している。それによって、通常では出荷までに1年以上を要する飼育期間が短縮され、3~4カ月で数百キロにまで成長するという。
報道によると、今月、南京市当局はある屠殺場に対して豚肉の抜き取り検査を行った。保管されていた河南省産の豚について、その尿20検体の全てから陽性を示す結果が出た。さらにその後、南京市の市場に流通した豚肉関連製品について抜き取り検査したところ、24のサンプルのうち5検体が陽性であったという。
禁止された「痩肉精」混入の豚肉は、どのように市場に流入したのか。
中国国内メディアの報道によると、河南省孟州市、沁陽市等の養豚農家では、これら問題のある成豚について、一頭あたり2元(約26円)で地元当局が発行する検疫合格証明書を入手し、100元(約1300円)で省境界の検疫所を通過させてもらい、南京市の屠殺場に入荷させる。さらに、10元(約130円)で動物製品検疫合格証明書を入手して、一般市場に送り販売するという流れで行っているという。
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