【大紀元日本1月10日】深刻な高齢化社会が進む中国では、高齢者だけの世帯が増え続け、当局は関連法案の制定を検討している。「家族は精神・経済面で高齢者の孤立を無視してはならない」「扶養者は別居している高齢の親に対して、頻繁に看護・訪問するなどの配慮が必要」などの内容を盛り込もうとしている。中国国内の複数メディアが報じた。
当局民政部の幹部は、「法律を守ろうとしない扶養者に対して、お年寄りは法的訴訟を起こしてもいい。裁判所はそれを立案して審理を行う」と説明した。これに対して、中国の法律学者は、法律条例として制定・執行するには、現実味に欠けるなどと指摘している。
当局の調査によると、2009年末に中国の60歳以上の老人は1.67億人に達したと推定される。そのうち、高齢者世帯の老人は50%を超える。一部の大中規模の都市ではその比率は70%に達する。農村部の高齢者世帯の老人は4千万人に達し、老人総数の4割を占めている。
法律専門家「現実味に欠ける」
中国華南理工大学法学院の葛洪義院長は、「法律で親孝行を定めるのはいいが、『頻繁に高齢の親を訪問・看護する』というような条文は、定める行為が不明確で、執行するのは困難であり、法律として適切ではない」との考えを示した。
陝西省社会科学院にある政治・法律研究所の劉世文所長も同様の観点を示し、道徳レベルで親孝行の問題を解決すべきだと指摘する。
陝西師範大学社会学専門の王継教授は、「政府と社会は高齢者を支える体制を構築しており、主要な役割を担わせるべき。そうすれば、お年寄りを尊敬し、いたわるという道徳教育を全社会で推進できる」と述べた。
定年退職した元教師・孫さんは、「熟していない瓜を無理に収穫しても甘くない。法的手段で得られる精神的な慰めは無意味だ。場合によっては家族関係が崩壊してしまう」と語った。