香港市民、「自分は中国人」意識 返還後最低に 毒ミルク訴訟など関係する

2010/12/27
更新: 2010/12/27

【大紀元日本12月27日】香港市民の中の、自分は「中国人」という意識が返還後最低となり、「自分は香港人」という意識が大幅に上昇していることがアンケート調査により明らかになった。22日付のVOAが伝えた。

12月初旬、「香港大学民意研究計画」は、無作為に抽出した1013人に対しアンケート調査を行った。対象者は「香港人」、「中国の香港人」、「中国人」、「香港の中国人」の中から自分の身分として認識しているものを選択。結果、36%が「香港人」、21%が「中国人」、28%が「中国の香港人」、14%が「香港の中国人」 だと認識していることが明らかになった。

今回の調査結果で注目すべき変化は自分の身分が「中国人」であるという意識を持つ香港市民がわずか21%だったという点だ。この結果は半年前の同様の調査結果に比べ7%低く、中国への返還後、最も低い値となった。また、半年前の調査では香港市民が自分を広義の意味で中国人であるという意識が、香港人であるという意識を初めて上回ったのに対し、今回は総合的に分析すると、64%が広義の意味で香港人であるとの認識を持ち、中国人であると認識する人は35%と減少している。

同計画総責任者の鐘庭耀氏は、香港市民の中国を認める意識が低下した原因は、北京が劉暁波氏のノーベル平和賞受賞を阻止したことに関係があると考える。香港時事評論家の何亮亮氏もこの見解に同意し、今年の後半に中国国内で発生した多くの事件が、香港市民に中国に対する好感を抱き難くさせていると指摘した。

何氏は、まず一番の原因として趙連海さんの事件をあげている。趙さんは毒ミルク被害者家族の会を維持するため、司法を通し公正を求め続けたが、却って司法により圧力を受けた。法治環境が比較的良好で司法も公正な香港から見れば、これは不可思議な事件。また、赤ちゃん用の粉ミルクにかかわる身近の事件として、香港はほかの地方よりも反響が大きかった。劉暁波氏の事件はいっそう明らかであり、香港の大部分の人は中国政府の彼に対する非難に同意しないはずだと同氏は話す。

趙連海さんと劉暁波氏の事件のマイナス影響が万博とアジア競技大会のプラス影響をも完全に打ち消したと多くの評論家は考えている。中国政府は全力を尽くし国際的なイベントを成功させることは予想通りであり、趙連海事件や劉氏の受賞に対する北京の対応は、北京政府に期待感を抱いていた香港の人々を非常に失望させる結果となったという。

なお、今回の調査結果から、回答者の年齢や教育レベル、民族などにより、回答の傾向が分かれることもわかった。若者が自分を中国人であると認識している割合は非常に低く、中年以上では高くなる。また教育レベルの低い人が自分を中国人であると認識する割合は高く、教育レベルの高い人では低いようだ。

香港大学の民意研究計画は毎年2回、調査を行っており、調査対象者は毎回約1000人。

(翻訳編集・坂本)