【大紀元日本12月20日】韓国中西部沖の黄海で18日午後、違法操業中の中国漁船が取締りの韓国海洋警察庁の警備船に衝突して転覆する事件が発生した。海に転落した中国漁船の乗組員のうち、1人が死亡、2人が行方不明となった。
今回の衝突事件について、中国国営新華社は一切報道していない。共産党機関紙系の環球時報は外国通信社の報道を元に、転落した中国漁船の乗組員は8人が救助され、1人はその後死亡したと報道しているが、「韓国側が積極的に中国の乗組員を救助」「韓国政府は死者が出たことについて遺憾の意を表明」など韓国側の対応を主に伝えており、中国漁船の違法操業や衝突の経緯など事件の詳細な情報を伝えていない。
韓国や日本メディアの報道によると、事件が発生したのは、韓国の全羅北道・群山西方沖約175キロの韓国側の海域。事件当時、問題の中国漁船は韓国の海域で違法な操業を行っていたという。
韓国海洋警察庁の公表によれば、当時、約50隻の中国漁船が現場海域で違法な操業を行っていた。海洋警察庁の警備船は、その違法操業を阻止しようとして停船の命令を出したが、そのうちの一隻が意図的に韓国の警備船に衝突してきたという。同庁は、ほかの中国漁船が自国の海域に逃走する時間を稼ごうとしたのではないかと予測している。
衝突の直後にこの漁船が転覆し、8人の漁民が救出されたが、そのうちの1人は意識不明の重体で後に死亡が確認された。取り締まりの際、漁船に乗り込もうとした韓国海洋警察が、鉄パイプやスコップを持った中国人漁船員ともみ合った際に、4人の警察官が重軽傷を負ったという。海に転落して行方不明になった中国漁民2人について、韓国側は4基のヘリコプターと6隻の警備船を出動させ、捜索に当たっているが、周辺海域で天候が荒れているため活動は難航している。
韓国海洋警察庁は19日、身柄拘束された中国漁民3人について、特殊公務妨害や排他的経済水域(EEZ)法違反での立件を検討していることや、本格的調査を行う方針を決めた。
今回の事件について韓国外交通商省は18日午後、死者が出たことについて遺憾の意を表明し、すでに中国領事館に関連の状況を伝えていると発表した。
一方、中国外務省は事件について、9月に起きた尖閣諸島付近の中国漁船衝突で見せた強硬な姿勢をとらず、事件起きてから2日後でも態度を表明していない。一部の中国ニュースサイトは、環球時報の報道を転載しているが、記事に対する読者のコメントや発言を発表するコメント欄は無効とされており、同事件に対する報道の規制が引かれているようだ。今回の「領土問題」に対する政府の沈黙には、深刻なインフレ危機が高まる国民の政府への不満がさらに炎上する可能性を警戒する当局の思惑が窺える。
人気掲示板サイト・天涯フォーラムは同事件を転載しており、「さすが今回は中国当局も言い訳ができないから、閉口しているようだ」と国内報道の姿勢を暗に批判した。また、尖閣諸島問題を意識したのか、「係争なしの領海は『わが国の領海』、係争有りのわが国が握っている領海も『わが国の領海』、係争有りの他国が握っている領海は『わが国の係争中領海』、他国の領海は『中国人民の伝統的漁場』」と中国政府の領海に関する発言を揶揄するコメントも見られた。
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