全人代代表を司教に独自任命 バチカン、非難声明

2010/11/26
更新: 2010/11/26

【大紀元日本11月26日】中国政府公認のカトリック教会「中国天主教愛国会」は20日、河北省承徳地区の司教に、全国人民代表大会の代表でもある郭金才神父を独自に任命した。これに対し24日、ローマ・カトリック教会は非難の声明を発表し、同会の劉柏年副主席を名指しで批判した。BBC中文ネットが伝えた。

カトリック教会では、司教はローマ法王だけが任命権を持つとされる。今までは、中国側が提示した複数候補の中からバチカンが承認した形で司教任命をしてきたが、今回の郭氏について、バチカンは承認しておらず、任命を強行すれば、改善の兆しを見せていた両国関係が再び悪化する可能性があると事前に警告もしていたという。

それを無視した今回の任命に、バチカンは不法だと表明し反発している。24日に発表された同声明では、「中国当局は、劉柏年氏の影響を受けた中国天主教愛国会の指導部がカトリック教会に損害を与える態度をとることを許している」と批判し、さらに、多数のバチカン承認司教に対し任命式典への出席を強制したことは、「信教の自由に対する重大な侵害」と非難した。

なお、バチカンが郭氏を承認しなかったのは、同氏が全国人民代表大会の代表であり、政府の影響を強く受けることになるとの懸念があったから、とキリスト教のニュース専門サイトCJC通信は分析している。

一方、今回非難された同会の劉柏年副主席は、2年前にバチカンに候補の決定を伝えたが回答が無かったと言う。「もう待てない。中国とバチカンの関係が損なわれたとしても、我々の問題ではない」と話した。

CJC通信は、アジア・ニュース編集長のベルナルド・セルヴェレラ神父の話として、今回の動きは、中国政府が一貫して教会を管理下に置こうとしてきた実態を示すものだと指摘した。

中国のカトリック教会は、政府公認でバチカン非公認の「愛国会」と、中国で非合法だがバチカンに忠誠を誓う「地下教会」に分かれている。 信徒数に関する正確な統計はなく、CJC通信は、愛国会が2000万人、地下教会が6000万人との推定があると伝えた。

(翻訳編集・張凛音)