【大紀元日本11月23日】中国国務院は先月、「国内外資系企業・個人の都市維持建設税および教育費付加制度統一に関する通知」を発表した。これにより、外資系企業に対する優遇措置が取り消され、これまで適用外だった外資系企業にも、12月1日付けでこれらの建設税と付加制度が適用される。
中国市場経済の体制が不備のため、外資系企業による投資はさまざまな困難を伴ってきた。過去30年、中国政府は海外の進んだ技術を導入することを目的として、海外投資家に、減税を通して「国民以上の待遇」政策を保証してきた。「国民以上の待遇」の時代が終結した今、外資系企業はコスト増大に直面する中、中国から撤退する動きを見せている。
一方、外資系を吸引する力が低下することを懸念する声に対しては、中国財政部は同制度に関する記者会見で「我が国の社会は安定し、経済は高度成長期にあり、消費市場は拡大しており、労働力資源は豊富である」「公平な競争市場を生み出すには、良好な税収機構と投資環境の整備が必要。外資系企業の理解と支持を得られると確信している」と説明し、外資系企業に、中国の経済構造の変化への一日も早い適応を促した。
予測の難しい商業環境に中国撤退も考慮
今回の発表前にも、予測の難しい中国の商業環境に挫折を感じ、一部の外資系企業はすでに中国徹底を検討していた。今年7月、英フィナンシャル・タイムズ紙は一面トップで、米ゼネラル・エレクトリック社イメルト(Jeffrey Immelt)CEOが中国でのビジネスが以前ほど容易ではなくなったと語っていると報道した。ドイツの総合電機大手シーメンス社のレッシャー(Peter Loescher)社長兼CEOや世界最大の総合化学メーカーBASF社のハンブレヒト(Juergen Hambrecht)会長も、後日、同様に懸念を示した。
中国EU商工会議所ヨルグ・ヴトケ(Joerg Wuttke)会長は、今年4月に英フィナンシャル・タイムズに寄稿した文で、次のように述べている。「外資系企業が中国からの完全撤退を検討しているということは初めて耳にした。中国本土の国内企業と競争できないからではなく、予測できない商業環境の中でもがくことにうんざりしているためであろう。このような環境で失敗する可能性は、人為的に増大している。一部の大企業は、今後の一部投資を中国から他のアジア諸国に転用する戦略を準備していると聞いている。透明性が高く、予測もつきやすい市場環境で、より安全でより確実な投資チャンスを求めている」
今年4月、中国は外資誘致についての規定を公表した。これによると中国はハイテク産業、サービス業、省エネ、環境産業の海外投資を歓迎している。しかし、重度の汚染を生み出したり、高エネルギーを消耗する企業、生産能力が過剰な産業に対しては、投資制限が敷かれている。従来の労働集約型、高汚染産業から技術集約、高効率産業へのモデルチェンジを外資系企業に対してはかるため、管理能力、透明度、予測を可能にすることなど、政府側への要求はますます高くなっている。中国政府はこのような商業環境の提供ができないため、外資系企業が中国からの撤退を検討するのは明らかだ。
中国EU商工会議所の調査報告によると、40%のEU企業は、今後2年にわたり、中国での外資系企業に対する監督・管理の環境はさらに悪化すると認識している。監督・管理の環境とは主に、自由裁量式執法を含む登記手続、知的財産権の保護、ビザと労働許可証の審査および地方の国家基準に対する執行についてである。多くの企業は、監督管理環境の法規において、国内企業よりも外資系企業に対して、政府役人の干渉が多くなると考えているようだ。
知的財産権の保護制度が薄弱
知的財産権問題も外資系企業の不満が溜まる領域である。在中の米国企業の90%近くが、知的財産権は業務上重要な意義を持っていると考えており、このうち70%が知的財産権は「非常に」あるいは「極めて」重要であると示している。そして大多数が中国における知的財産保護は不十分であると考えている。
英フィナンシャル・タイムズ紙7月の報道によると、イメルトCEOは、晩餐会でイタリア商業界の指導者らに、中国における外資系企業の業務展開がますます難しくなってきたことを語っている。中国は企業の技術を系統的に奪い取り、これらの技術を中国および海外市場での競合に利用するつもりだ、とイメルトCEOは見解する。またマイクロソフトのバルマー(Steve Ballmer)CEOは、デジタル社会において知的財産権保護制度に対する中国の認識の低さが、科学技術産業発展の足手まといになっている、と述べている。
シーメンス社スポークスマンによると、ドイツ企業は中国国内の企業と同等に扱われることを希望しており、技術移転は自らの意志で行うという原則を厳格に遵守し、さらに知的財産権の保護においても強化すべきであると伝えた。
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