上海、深セン株式市場が急落 個人投資家:証券会社が「黒幕」

2010/11/19
更新: 2010/11/19

【大紀元日本11月19日】中国上海と深セン株式市場が、11月16日、再び急落。12日に続く二度目の落ち込みとなった。株式市場の急落に対して、国内の個人投資家の多くは、国際投資環境や国内金融引締め政策の影響以外に、証券会社が今回の急落をもたらした「黒幕」であると認識している。

12日、上海と深センの両株式市場が急落した直後に、中国国内のネット上で「驚くべき株式市場での操作事件」と題したブログ文章が広く転載された。今回の急落は、約20社の証券会社が国内先物市場で操作した結果もたらされたということが暴露され、大きな反響を呼んだ。

12日の上海総合株価指数は3000ポイント台を割り、2985.44ポイントの終値を付けた。当日の下落幅は5.16%となった。また深セン成分指数の終値は、前日比(958.40ポイント)7%安の12726.54ポイントを付けた。下落幅としてはそれぞれ2009年8月以来、最も大幅な水準となった。

12日に続き、16日の両株式市場の株価指数は鉄鋼、石油、金融関連など、主要銘柄の大幅な下落によって、再び急落。上海総合株価指数はついに2900ポイントの大台を割り、前日比(119.88ポイント)3.98%安の2894.54ポイントで取引を終えた。深セン成分指数終値は前日比(590.82ポイント)4.61%安の12217.27ポイントを付けた。

また16日、中国のA株式市場において、約300億元(約3630億円)資金が撤退したと16日付の「全景網」が報じた。そのうち、機関投資家による資金流出が143億3300万元で、個人投資家によると資金流出は168億8600万元となった。

株式市場の急落について多くの専門家は、国内のインフレ深刻化に伴い、人民銀行(中央銀行)は、追加利上げなど一層厳しい金融引締め政策を実施する観測が広がっており、株式市場において金融やエネルギー、不動産関連銘柄にマイナスな材料になると認識している。

一方、国際投資環境も、このほど浮き彫りになったアイルランドの財政危機問題で不安定になっており、米国連邦準備制度理事会(FRB)による追加量的緩和実施の中国金融市場への影響などもあり、海外から中国株式市場に与えるマイナス影響は大きいとされる。

個人投資家:国内証券会社が「黒幕」

しかし、専門家の分析よりも「証券会社が今回の株式市場急落の黒幕だ」とのうわさを信じる個人投資家が多いという。

12日、上海と深センの両株式市場が急落した直後に、中国国内ネット上で転載された「驚くべき株式市場での操作事件」と題したブログ文が大きな反響を呼んだ。同ブログによると、約20社の証券会社が国内先物市場で、株価指数連動型先物取引の売りポジション(売り注文)を大量に建てている。この先物取引は11月19日に満期決済しなければならない。このほど国内株式市場株価の上昇で10億元以上の損失が被ると予測し、損失を避け巨額な利益を得るために、資金的に優勢であるこれらの証券会社は手を組んで大量な売り注文を出し、株価を下落させたという。

また、同ブログによると「現在この20社の証券会社の保持している株価指数連動型先物取引は、すべて売りポジション。中に12月限物の売りポジションは4000枚以上で、(11月限と合わせて)2カ月の売りポジション総数が6000枚を上回った。両建てポジション(損失を最小限にするため、買い注文と売り注文を同時に出すこと)を除けば、これらの証券会社が持つ売りポジションは、株価指数連動型先物市場における売り注文の45%を占める」という。さらに「12日、株式市場で大量に売り注文を出して株価を下落させたことで、これらの証券会社は少なくとも6億元の利益を出したが、上海および深センの両株式市場の個人投資家は、約5000億元の損失を被った」と暴いた。

「株式市場が操作されているかを検証する方法は、非常に簡単だ。15日の株価指数連動型先物市場での取引を1日停止すれば、15日の株式市場株価は必ず下落しなくなるだろう。逆に株価指数連動型先物市場での取引を続ければ、15日から19日の株式市場は、引き続き暴落するだろう。下落幅が10%を超える恐れもある」とブログでは示されている。一方、15日の株価指数連動型先物市場では、取引は行われていたが、株式市場では大幅な下落はなかった。しかし、これに安心した個人投資家は、翌日の16日に新たな株式市場急落に直面した。この状況によって、「証券会社が急落の黒幕だ」との見方が一気に個人投資家の中で広まった。

うわさの信憑性について、北京の商さんは本紙取材に対して、「私の経験から、このような可能性はあると思う。2008年1月30日、国家証券監督管理委員会(証監会)の陳情弁公室に陳情に行った際、証監会は上海証券取引所のことは監督・管理できない、と職員にはっきり言われた。別の職員が、証監会はただ仲立ちの立場にいるだけだということを話してくれた」と述べた。また商さんは「個人投資家が証監会に陳情に行くと、だいたい上海証券取引所のスタッフが応対し、証監会の職員は同伴して横にいるだけ」と語った。

商さんは「株取引を行っている友人が多くいるが、今回の二日間で大きな損失を被った。しかし、株価の急落や急上昇には、もう驚かなくなった。株取引をよく行う個人投資家なら、株価の急落や急上昇は、個人投資家の資金を奪う目的で、権力者たちがお膳立てしているゲームに過ぎず、国内のいわゆる「専門家」も彼らのために宣伝広告をしているだけだということは、分かっているはずだ」と話した。

上述のブログの作者は、株式市場を操作することは中国でも重罪とされるが、政府当局がどのように取り締まるかについては、「難しい選択肢を迫られている」と指摘。「犯罪者を処罰すれば、その後ろ盾である権力集団の恨みを買うこととなり、自分たちは官職を失うリスクがある。しかし、処罰しないと国内すべての個人投資家から怒りを買うこととなり、取り返しのつかない結果になるだろう」と示した。

(記者・姜斌、翻訳編集・張哲)