【大紀元日本11月17日】15日に上海市高層マンションで起きた火災の原因について、当局は違法な電気溶接工事によるものと報じ、溶接工8人の身柄を拘束した。16日午前の時点で、火災による死者は53人に上っている。負傷者70人(うち重傷患者17人)は病院で治療を受けている。中国新華ネットが伝えた。
火災が起きた上海市中心部の28階建ての高層マンションでは、出火当時、外壁の改装工事が行われていた。新華ネットの報道によると、ビル10階で溶接を行っていた無資格の溶接工が作業規則を違反し、外装工事に使われるナイロンネットや竹製の足場などの可燃物に火花を飛ばして、火災が生じた。拘束された8人も作業ミスを認めているという。
一方、BBC中文ネットは火災現場にいた地元市民・蔡さんの話として、外壁の改装はビルの断熱性能を高めるためのもので、使われた断熱材の耐火性に問題があったと指摘している。
断熱材の耐火性については、中国のインターネットフォーラム・猫眼看人でもフォーカスされている。今回の火災後、同サイトは昨年の中国中央テレビの大火災の原因究明の記事を掲載した。これによると、中国では断熱材に関する規定はあるものの、立法や罰則がないため、実際の現場では断熱材の耐火性はほとんど考慮されていない。また、断熱材が一旦引火されると、瞬く間にビル全体に延焼する特徴を持っており、引火点の特定も難しく、消火活動の妨げになるという。
「どんな経験豊かな溶接工でも、このような断熱材に囲まれた現場で作業することは危険だ。本当の犯人は溶接工ではなく、耐火性のない断熱材なのだ」と建築材料評論家の張さんは同サイトに意見を寄せている。
また、今回被害が広がった理由として、消火しにくい状況にあったことが挙げられている。現場にいた住民は、消火はしごが15階までしか上がらず、それより高い階は隣接ビルからの水の噴射に頼るしかなかったので、迅速に対応できず大惨事につながったと証言している。さらに、大通りからビルへの出入り口が狭く、消防車が接近できなかったことも指摘されている。
国家の威信を懸けた上海万博が閉幕したばかりの大惨事。複合的な要因が考えられている中、当局の気の緩みを指摘する声も上がっている。
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