中国人男性、白人老人に変装しカナダへ亡命 弁護士、親中メディアの取材禁止要請

2010/11/11
更新: 2010/11/11

【大紀元日本11月11日】ことの発端はまるでハリウッド映画のようだった。10月29日、香港発バンクーバー行きの旅客機に、20代の中国人男性が精巧なシリコン製マスクをかぶり、年配の白人男性に変装して搭乗したが、変装を怠った若々しい手指から見破られてしまい、到着したバンクーバー空港でカナダ当局に身柄を拘束された。

男性はその後、難民としての保護を求めた。11月9日に行われた審問で、男性側の弁護士は、報道陣、特に3つの海外中国語メディアの傍聴を禁じるよう申し入れた。中共政権の海外メディアへの浸透が浮き彫りとなり、カナダ国内で注目されている。

3つの海外中国語メディアとは、香港資本の「星島日報」「明報」、台湾資本の「世界日報」。本紙の取材を受けた男性側の弁護士ダン・マクレオード氏は、審問の録音が中国当局に渡ることを懸念し、「すべてのメディアの傍聴禁止を要請する。特に親中共のメディアの傍聴を禁止すべきだ」と主張した。

共産党政権が海外中国語メディアに浸透していることに関して、マクレオード氏はカナダ国内の報道で知ったという。「報道された内容だけではない。星島グループのウェブサイトによると、同社の上層部の1人か2人は、中国当局の最高レベルの組織・全国政治協商会議の委員でもある」とマクレオード氏は危惧を示した。

また、「明報」を買収したマレーシアの華僑で建材業界の権力者・張暁卿氏は、北京との親交が厚く、中国と多くの取り引きをしている、とマクレオード氏は言及した。

「これらのメディアに審問の電子データが渡ると、香港などにある本社が簡単にアクセスできるようになる。カナダ難民局の禁止令は国外では効力がないので、データは中共と親しい上層部を通じて、当局に伝わる可能性がある」とマクレオード氏は指摘した。

カナダ全国紙「グローブ・アンド・メール」10日の報道によると、マクレオード氏はこれらの3つのメディアが「中国政府の影響を受けている」として、男性の個人情報が中国当局に渡らないように配慮しているという。情報の流出により身元が判明、難民認定されない場合、本人と家族の安全が脅かされる恐れがあるからだ。

マクレオード氏が名指した3つの海外中国語メディアは、「独立系メディア」と自称し、中共の影響を受けていないと主張している。これに関してマクレオード氏は、「記者自身が影響を受けているかどうかは問題ではない。問題は上層部が影響を受けているかである。報道内容の決定権があるのは上層部だから」と反論した。

(バンクーバー記者・邱晨/翻訳編集・張凛音)