【大紀元日本11月11日】中国で2008年に発覚した、約30万人の乳幼児に被害が広がった汚染粉ミルク事件で、被害者家族代表として政府に補償を求める活動をしてきた趙連海さん(38)は10日、北京市の裁判所から、公共秩序騒乱罪で懲役2年6か月の実刑判決を言い渡された。
判決の宣告に、趙さんはその場で着用していた囚人の制服を脱いで抗議し、自分の無実を主張した。趙さんの懲役の結果に、法廷で傍聴していた妻と家族がその場で泣き崩れ、「被害者として権利を要求する活動で罪に問われるとは信じられない」と主張した。当日法廷の前に集まった約40人の応援者が、「無罪釈放せよ」と怒声を上げ、号泣した人たちもいた。
趙さんの弁護士・李方平氏は本社記者の取材に、「事実や法律の角度から、この判決は成り立たない。同種事案では大半が懲役1年以下の判決だが、2年6か月と判決されたのはひどい」と話した。本人は上訴する方針という。
北京市出身の趙さんは、テレビ、広告会社、国家質量監査局の傘下にあるメディアで長年勤めていた。息子が粉ミルクの被害を受けたのをきっかけに、民間ウェブサイトを立ち上げ、関連被害の状況を調査した。その後、調査の結果を公開し、被害者家族の権利を守る団体を結成した。あらゆる媒体を通して、政府に補償を求めるなど権利主張の活動をしてきた。
昨年11月、公共秩序騒乱の罪で刑事拘束され、12月、逮捕された。北京公安局による起訴意見書では、趙さんの行為を「インターネット上で悪意をもって煽(あお)った」「スローガンを叫んだり集会を召集した」などとしている。安徽省の直訴者女性が拘禁された際にレイプされたことに関し、女性を連れて公安局に行って、レープをした関係者を告発したのも、犯行の一つとされている。
人権活動のために一時拘禁されたアーティストの艾未未(アイ・ウェイウェイ)さんも釈放後、ツイッターで、30万人の被害者乳幼児のために声を上げた趙さんへの判決は、中国人全体の倫理への問いかけであると発言した。
趙さんの名前を取っているツイッターに、多くの応援が寄せられている。「奴隷の身として生まれたが、奴隷の心を持ちたくない」とツイッターで表明する趙さんは、かつて公の手紙で、被害者家族の権利を守る決意についてこう語っている。
「逮捕にしろ判決にしろ、殺されてこの世から姿を消されても、子供たちの命の尊厳を守るための勇気と決心は抹殺できない」
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