【大紀元日本10月29日】中国での今春からの賃上げストライキの断続的な発生や、9月以来、対日通関手続きの見直しによる輸出入製品の物流停滞のため、一部の日本の繊維メーカーは中国からの生産拠点の移転を検討している。
大手スーパーのイオンは26日、中国で製造するアパレル製品を現状の8割から5割に下げると公表した。無印良品も、中国での人件費コストの上昇や、労働力不足による納期の遅延などを理由に、今後、バングラディッシュなど東南アジアでの生産を増やす方針だ。NHKの報道によれば、ユニクロも中国以外の国からの生産調達を強化する考えだ。
イオンの岡田元也社長は、26日の記者会見で、中国で生産した一部の製品は通関手続きにより納期が遅れており、店舗の運営に支障が出かねないことを明らかにした。その一方で、今後10年間、北米市場を中心とする販売重点をアジアに移し、日本、中国、東南アジアに3カ所の本部を設立することも表明した。日本の小売業者が依然として中国の大市場を重視していることも明らかである。
大手商社の繊維業貿易部門の関係者によると、日本のメーカーは中国のアパレル工場にとってデメリットが大きい相手だという。日本向けの商品は、米国に比べると品質チェックの基準が高く検査費用がかかり、欧州向けの商品と比べると単価が安く、薄利であるためだ。責任者は、「日本の商品の安さは先進国でも最低レベル」だという。
中国の工場は国内内需の高まりから、国内向けの生産に目を向けている。また多くの日本のアパレルメーカーも、中国向けのアパレル市場に向け、上海や北京で今期からファッションショーや展示会を開催している。
日本にとって、海上輸送上、距離がもっとも近く、日本語の話せる労働人口がアジア圏でも多い中国はなかなか切り離しがたい相手だ。しかし、通関手続きの延長や、賃上げストライキ・反日デモなど、政治的、人的トラブルなど、多くの要因がビジネスに多大な悪影響を及ぼす国でもある。本紙記者の取材によると9月末、日本の商社が所有するアモイのアパレル関連工場では、放火事件により数千枚の商品を無駄にしたという報告を受けている。放火の理由は伝えられていないが、「反日デモの影響ではないか」と、同社社員らは今後の中国との取引を懸念している。