【大紀元日本10月26日】先週から中国青海省で、中学・高校でのチベット語使用を制限する教育改革に対してチベット人学生・生徒による抗議活動が続発している。デモはさらに首都の北京まで蔓延し、22日、北京にある中央民族大学でもチベット人学生がデモを行ったという。 デモがこれ以上拡大することを警戒した青海省政府は、24日午後、民族学校での中国語による学校教育の実施を先送りすると発表した。
青海省政府は9月に教育改革の政策を打ち出した。15年までに、省内のすべての学校の教科書を中国語版に変更し、チベット語と英語の科目以外、全教科の授業を中国語で行うと決めていた。
青海省同仁県では19日、同政策に抗議する目的でチベット人の生徒、数千人が街頭デモを行なった。参加者らは「文化的平等を要求」とスローガンを叫び、中国共産党当局は、教育改革政策を通して、チベット民族の言語と文化を滅ぼそうとしていると訴えた。
また、BBCの報道によれば、青海省黄南州尖扎県で24日、千人余りのチベット人教師と生徒が抗議デモを行った。
青海省各地で発生した抗議デモの様子(フリーチベット提供)
北京在住のチベット人女性作家・唯色さんはBBCの取材に対し、抗議活動はこの日の早朝に始まり、地元政府の幹部と警察が現場にいたが、当局による弾圧行為はなかったと証言した。
しかし、現地の情報提供者の話では、チベット民族学校の教師と生徒は現在、校内に軟禁されているという。現地政府の幹部は学校を訪れ、抗議活動は反政府活動のひとつだとし、国際社会が注目している今の時期が過ぎれば、抗議参加者への責任を追及すると脅したという。
少数民族の学生が就学する北京の中央民族大学
北京の中央民族大学の学生による抗議活動。横断幕には「民族言語を保護、中華文明を伝承する」と書かれている(ネット写真)
では22日正午、400人あまりの学生が校内で抗議活動を起こし、チベット文化を支持する姿勢を表明した。
台湾の民間団体「図博之友会」が現地から入手した情報によれば、中国政府の同教育改革の政策が公表されてから、青海省の海南州、黄南州、果洛州の三つのチベット自治州では、小中学生を含む8千人余りが街頭での抗議活動に参加した。
「図博之友会」は、国際人権団体や各国政府に対して事件への関心を呼びかけ、同時に、中国政府に対して、単なる抗議行動に「政治的陰謀」の罪を被せないよう自制を求めている。
チベット人が在住する青海省の一部の地域は、従来から中国政府の対チベット政策の試験地区となっている。専門家は「今回のチベット民族学校教育の改革政策に当たって、チベット人が最も集中するチベット自治区や、チベット人による抗議が多発する四川省ではなく、青海省を選んだのは、チベット人の反応を試そうとする意図がある」と分析している。