【大紀元日本10月15日】中国共産党第17期第5回中央委員会全体会議(5中総会)が今日、北京で開幕する。開会を控え、党の各派閥は熾烈な権力闘争を繰り広げている。次期の最高指導者として有力な習近平を支持する太子党と、胡錦濤主席が代表する団派との間の争いのほか、次期でも軍事委員会主席の座に留まろうとする胡主席の野心に、温家宝首相が代表する改革派も胡錦濤をけん制する動きをしているとの見方がある。英BBCが香港の時事評論家・林和立氏の記事を掲載した。以下はその抄訳。
現国家副主席の習近平が順調に軍事委員会副主席の座に着けるかどうかが、今回の総会の大きな焦点となっている。
幹部子弟である太子党の代表とも目されている習近平は、江沢民前国家主席に連なる「上海幇」(上海グループ)に支持されているが、党内最大派閥である共青団派閥のトップで現国家主席の胡錦濤との関係は良好とは言えない。胡はかねてから、習近平の「早すぎる軍事委員会入り」に反対する意思を示している。習が軍事権を握り、勢力を拡張してしまえば、胡の出身母体である共青団派閥のメンバーの昇進が阻まれてしまうと警戒しているからだ。
胡は次期党大会(第18期)のとき、総書記の座を習に譲り、自分は最も影響力のある軍事委員会主席の座にそのまま留まろうと目論んでいる。それを実現させるためにも、習の軍事委員会入りをできるだけ先送りにしようとしている。
習近平は党内では、有名な「お人よし」だそうで、胡の野心に挑戦するほどの度量を持ち合わせていない。そんな胡主席の意を忖度(そんたく)した習は、前回の4中総会のとき、自ら中央に書簡を出し、自身の能力に限界があるため、新たなポストに付くつもりはないと表明した。
しかし、今年に入り、情勢は一変。情報筋によると、政治局委員会の温家宝首相、人民代表大会(日本の議会に相当する)の呉邦国委員長、政治協商代表大会の賈慶林主席など少なくとも3人の党内有力者が、習が5中総会で軍事委員会副主席になり、次期党大会で軍事委員会主席に就任することを支持する意向を示した。つまり、温首相らは、胡主席が退任後もなお軍隊の指導権を握ることに反対しているということである。
軍の主導権に未練のある胡主席は、権力を握っているうちに、多くの共青団派閥メンバーの政治局常務委員会入りを果たしたいからである。
もちろん、温家宝首相をはじめとする改革派も黙っていない。温首相は去年8月末、深せん市で「改革しなければ活路がない」と発言し、その後米CNNの取材に応じた際も、「命ある限り、政治改革を推し進める」と強調した。
この異例とも取れる温の一連の談話が胡主席を意識した発言なのかどうかは定かではないが、党内改革派は、まもなく開幕する5中総会で、「天下統一」を企んでいる胡主席が率いる共青団派閥に反撃するに違いない。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。