冤罪主張で警官が抗議 検察庁に殴打される=中国遼寧省

2010/10/05
更新: 2010/10/05

【大紀元日本10月5日】司法に携わるはずの警官と検察庁の殴り合いの一幕が、先週、中国遼寧省鞍山市で目撃され、中国国内のネット上で話題になった。

9月29日、遼寧省鞍山市検察庁前で、制服姿の警察官5人が横断幕を揚げ、抗議を行なった。5人は、事件捜査の段階で容疑者に拷問などの手段を使って自白を強要した疑いで検察の取調べを受けているが、冤罪を主張し、疑いを晴らすため検察庁に対して抗議を行なったという。

しかし、検察庁の関係者は5人に対して殴打などの暴力を振るい、1人の抗議者は気絶するほどの事態となった。

中国国内の大衆紙「新京報」が同事件を報道した後、速やかに各ニュースサイトに掲載され、ネット上で話題となっている。事件の場面を撮影したビデオもネット上で公開された。

しかし、殴られた警官に同情する声はほとんどなかった

検察庁の関係者に殴打されている警察官(ネット投稿写真)

。「犬同士の喧嘩」「死者が出なかったことは残念」など冷ややかなコメントが多く、職務権力を濫用している中国の警察が殴られたからには、裏に深刻な事情があるに違いないなどの意見が多かった。

一方、同検察庁に電話取材をしたところ、関係者が殴った相手は警察官ではなく、公安関係者が一般人を殴った事件だと言葉を濁した。現在ネット上に掲載された関連報道のリンクも削除されている。

「警察は、他人に拷問や虐待などの暴力を振るう際、残酷で手加減はしない。今回のように立場が逆転し被害者になっても、誰からも同情を得られない」と弁護士・鄭建偉氏は警察が反省すべき点を指摘した。

中国では、警察の捜査で拷問などの強制手段が多く使われている。虐待に耐えられない容疑者は、そのまま罪を認め、死刑を言い渡されるケースも少なくない。しかし、拷問や虐待にあたった警察官が懲罰されたことはない。検察が警察の拷問を立件して調査した今回の事件の背景には、中央政府の指示があるのだろう、と評論家は分析している。

中国問題に詳しい評論家・横河氏によると、中国の司法部門はすべて中央政法委員会に管轄されており、党の道具に過ぎないため、司法者そのものが法律制度を破壊したことを意味する。同氏は「法輪功学習者に対する迫害の中、遼寧省の警官に暴力を振るわれて死亡した人は数多くいたが、取調べは一度もなかった」と指摘し、「中国の司法制度において、権力の順位は、『公安警察が“大”、 法廷が“小”、検察庁は“無くてもよい”』であるため、今回の事件に関係している警察官は権力者の利益に触れたものと考えられる」と見解している。

(記者・駱亜 翻訳編集・YJ)