中国の奇妙な衛星実験 サテライト・ウォッチャーの懸念

2010/09/12
更新: 2010/09/12

【大紀元日本9月12日】中国が行った衛星2基の奇妙な演習は、米宇宙研究財団で衛星観測をする人(サテライト・ウォッチャー)に不安を与えた。6月12日から8月16日にかけて、中国の2基の衛星をわずか数百メートルまで軌道上で接近させたり放れさせたりする奇妙な実験を少なくとも6回繰り返したが、これについて中国政府がほとんど公に明らかにしていないからである。

今回の中国の衛星実験については、宇宙利用を研究する民間団体「セキュアワールド財団」が米軍提供の情報を分析して明らかになった。中国政府メディア新華網は、18日付けのロシアのインタファクス通信の報道を引用して22日に初めてこのことを報道したが、当局は公式な発表を出していない。

この2つの衛星「実践12号」と「実践6号」03組A星の演習は、将来、「中国が他国の宇宙観測機器に接近・接触し、破壊させる目的で行われた可能性があるとサテライト・ウォッチャーは懸念している」と、米メディアNBC科学部門の編集者、アラン・ボイル氏は同紙ウェブ版で述べている。またボイル氏は「もし彼らの予想が事実ならば、大きな国際問題に発展しかねない。最悪の場合、国際宇宙ステーション(ISS)や各国の通信衛星、地球観測衛星、軍事衛星などの通信が絶たれることとなる」と続けた。

しかしボイル氏の見解は、そのことが起こるのは「まだ現実的な話ではない」としている。彼によると、中国が今回成功させた衛星の同一軌道上での接近は、これまでNASAやJAXA、欧州宇宙機関 (ESA) だけが成功させている、宇宙ステーションへ物資・燃料を運搬をする上で基本とされている技術だという。すでに数年にわたり、NASAとペンタゴンは同一軌道にのせたロボットを使った衛星点検を行っている。

世界安保財団(Secure World Foundation)の技術アドバイザー、ブライアン・ウィーデン氏は「衛星観測者たちは、このニュースにより辛うじて情報の『落穂ひろい』ができる状態だ」と観測者たちの不安について、宇宙情報サイト「スペース・レビュー」で語っている。

最近の米中の宇宙開発事業については、宇宙戦争の可能性を専門家たちに議論させる出来事が起きている。2007年、中国の衛星が自国の気象衛星をミサイルにより爆破させた。そして2008年には、米国防総省は航対空ミサイルで「スパイ衛星」を撃破したと発表した。これらの出来事は宇宙事業の安保について重大な懸念を専門家たちに与えた。

NBCニュースの宇宙アナリスト、ジェームス・オーべリ(James Oberg)氏は「宇宙開発技術の発展のための実験は、基本的には無害とされ、正当化される。そのため中国の場合、公然と今回の成功を自慢すると思われていた」とWired.Comの取材に対し、当局の静けさに驚いていると述べた。

オーべリ氏は米国防省に関連情報を問い合わせたところ、今回中国の衛星実験は確認しているが、中国側からの情報はないとの返答だったという。NASA宇宙管制室(NASA Mission Control Center)に勤務経験のあるジェームズ氏は、今回の衛星実験は軍事目的である可能性が高いと見ている。

(翻訳編集・佐渡)