【大紀元日本8月14日】中国の8割の行政区で特大洪水が発生し、広範囲で農作が破壊されたとの情報が伝えられる中、8月11日、中国国務院は常務会議を開き、秋収穫の食糧生産の政策措置を部署した。中国農業部は12日、公式サイトで、「党中央と国務院の政策を貫徹し手を尽くせば、食糧生産量を1兆斤(5億トン)以上に安定させる目標が揺らぐことはなく、秋の食糧豊作を実現させることができる」との決意を表明した。
一方、農業部は同表明で、異常気象により食糧と農業生産が極めて大きな困難に直面しており、多くの地区で深刻な洪水災害が発生し農作物の被害面積も甚大であり、秋収穫の食糧生産も楽観視できないことも同時に指摘している。
政府系の報道によると、11日の国務院の会議で、温家宝総理は、秋収穫の食糧生産の厳しい状況を指摘した。持続している低温と洪水の影響により早稲収穫は全般的に遅れ、それに伴い晩稲の植え付けも遅れている。このため、今後「寒露風」による冷害に遭うリスクが増加し、病虫害を受ける確率も高くなることを懸念している。
また、増水期に入って以来、多くの地区では深刻な洪水災害に見舞われ、農作物の被害面積も大きい。東北地区の秋収穫食糧は春まきの遅れにより昨年よりも霜の被害に遭うリスクが高くなっていると会議で示されているという。
大干ばつ、大洪水、高温天気 災害に苦しむ各地
中国では今春、気温が高く雨の少ない天気が続き、雲南、江西、貴州、四川、重慶の5省市では昨年以来厳しい干ばつが続いた。政府系の報道によると、全国で干ばつの被害を受けた耕地は1.11億畝(1畝は約1/15ヘクタール)。この中で農作物の被害面積は8579万畝で2212万人が水不足に苦しんだ。
新京報によると、今年3月19日から21日の間、温家宝総理は旱害の最も深刻な雲南省曲靖を視察中、現地の農作物100万畝の収穫が絶望的と伝えられ、現地幹部に最悪の事態を考え準備するよう指示を出した。
その旱害を受け、米価の高騰が全国各地に広まっている。干ばつ地区では食糧が足らず、他の地方から調達する必要があり、全国の米価上昇を招く要因となった。上海、重慶などではすでに価格上昇の現象が現れていると、一部報道では伝えている。
「大干ばつの後には必ず大洪水が来る」と言われている通り、西南地区が上半期に旱害の苦しみを受けているところに、今のような洪水が全国各地で次々にやって来た。
8月吉林省、水害により土砂に埋もれた農田(資料)
7月30日、国家洪水・旱害防止総指揮部弁公室の統計によると、今年に入り全国28省区市が洪水災害を受け、農作物被害の累計面積は917.2万ヘクタールで約1億4千万畝、被災人口1.37億人、直接経済損失は1935億元にのぼる。
また、洪水に伴い、高温範囲も拡大し続け、そのレベルも上昇し続けた。7月29日、中国では高温が21省区市で発生し、北京、天津、山西、河北、河南、山東などが持続的な熱波に見舞われた。涼しいと思われていた青海高原も熱波が襲い、陝西、重慶、河北等の多くの地区で高温警報が発令された。内モンゴル中部の拐子湖や額済納旗ではそれぞれ気温が44.5度、43.7度を記録した。
輸入により不足補い 食糧生産を他国に移行か
本部を米ワシントンに置くアースポリシー研究所は今月10日、米農業省が世界の食糧生産量は8千万トン減少すると予測していると発表。
同所のレスター・ブラウン所長の話によると、中国は長年、食糧を自給自足してきたが、ここ数か月、カナダと豪州からそれぞれ50数万トンの小麦、米国から100万トンのトウモロコシを輸入しているという。これは中国が主要食糧輸入国に移行する兆候であると見ている。また、中国のあるコンサルタント会社は中国のトウモロコシ輸入量が2015年には1500万トンに増加すると予測している。
米国と中国の食糧生産量にはあまり差がなく、年生産量はどちらも4億トン前後。もしシカゴ、あるいは北京が似たような熱波に見舞われれば、どちらも重要な食糧生産地区であるため、両国の食糧生産量は半分にまで落ちるだろうと所長は予想している。
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