【大紀元日本8月11日】多くの死者を出した甘粛省舟曲県の特大土石流事件の救援が続く中、食糧や飲用水の不足が深刻な現地に対して義援金の呼び掛けが始まった。そんな中、近年中国で頻繁に発生している災害事故への寄付金の行方についてネット上で疑問の声が上がっている。2年前に起きた四川大地震と今年4月に起きた青海地震に対し、国内外から多くの義援金が集まったが、その大部分は被災者の手に届いておらず、政府の臨時収入となっていたと、8日付の南方都市報が伝えた。
同記事によると、四川大地震時の760億元(約9600億円)、青海地震時の100億元(約1250億円)以上の義援金の大半は政府のポケットに入ったという。なお、昨年、清華大学の研究チームが「四川大地震の義援金の約8割が政府の臨時収入となった」との調査結果を発表していた。
義援金の政府財政への横流しを正当化したのは、先月中国の民政省が発表した「青海地震義援金管理使用実施方法」である。同規定の中で、民間の公益団体が集めた義援金は、青海省の地方政府、青海省所轄の赤十字と慈善総会に納めなければならない、使用・管理は青海省で統括して行うと定められている。
この規定発表後、多くの民間公益団体が疑問を投げかけた。「集まったお金の行方はどう説明すればいいのか」「資金の使用への監督はどう行うのか」「民間公益団体の存在意味がないじゃないか」「また政府の財政に組み込まれるのではないか」と反論した。
南方都市報も同記事で、行政が民間の公益事業を圧迫しており、それらの成長のチャンスを奪い取っていると指摘した。
清華大学の研究では、義援金の使用について、民間団体と比べ、政府は効率が悪く効果も少ないとの見解を示しており、欧米社会では政府が予算を拠出して民間の公益団体の活動を支えているのに、中国では逆になっていると、政府の義援金の使い方を批判した。
一方、04年に制定された「民間慈善団体管理条例」に基づくと、民間の公益団体は公的団体と地位が対等で、同様な権利と義務を享有している。民間団体は公的団体の付属ではないため、義援金を公的団体に納める義務がない。先月発表された同規定は実質上「条例」違反であると、専門家は指摘している。