【大紀元日本7月25日】中国老齢委員会弁公室が7月中旬、初めての老齢事業発展年度統計公報を発表した。これによると、昨年度に比べ中国の老年人口は0.5%、725万人増加している。BBC中国語サイトが報じた。
また、09年、60歳以上の老年人口は1.67億人に達し、すでに総人口の12.5%を占めるまでに増加している。中国老齢委員会弁公室の呉玉韶副主任は、近代化が実現されないままに高齢化社会に入った中国は今後、老後制度の問題に直面することになると述べた。
発表された公報の老後保障に関するデータによると、09年全国市・鎮基本老後保険の加入者は2.35億人を超え、08年末に比べ1607万人増で、増加率は7.3%となっている。
しかし企業従業員の基本老後保険費の総収入と総支出の増加率はそれぞれ17.8%と21.6%と、収支の不均衡は明らかである。
中国の60歳以上の老齢人口は主に農村に集中し、その総数は1億人を超えている。今回の公報によると、昨年、中国320県(市、区、旗)では新型農村社会老後保険(新農保)が試験的に始動しており、すでに1500万人の農村に住む老人が、1ヶ月55元(日本円約700円)を基準とする基礎養老年金を受け取っているという。
「新農保」の規定では、16歳以上で、全国市・鎮基本老後保険に加入していない農村部住民は、戸籍所在地で農保に参加することができる。「新農保」が実施される時点で60歳以上で、全国市・鎮基本老後保険に加入していない農村戸籍の高齢者が、養老年金を受け取ることができるが、その子女たちは「新農保」に加入して保険費用を支払うことが義務付けられている。
農村の老後問題について、中国人民大学農業・農村発展学院の教授である鄭風田氏はBBCの取材に対し、中国の農村と農民の老後保険問題の解決策はこれまで理想的ではなかったと話した。「新農保」の始動により1500万人に養老年金を支給できたとのは比較的早い進展である、と同氏はしていると同時に、「新農保」が基礎養老年金を受け取る農村老人の次世代や孫世代もこの保険に加入することを求める拘束的な政策であるため、保険加入への積極性を制限するものであることも強調している。
この政策の目的が後続の老後基金を保証するためであっても、子供の多い世帯の場合、老人が受け取る養老年金が、子孫が納めなければならない金額より低いならば、保険加入の動機を減じさせてしまう、と鄭氏は指摘している。
この考えから、鄭氏は中国政府が農村部の基本老後年金を全面的にカバーすることを提案している。毎年各項目のいわゆる「恵農資金」は8千億元を超えており、最低養老年金基準に従う場合、全面的にカバーする資金はわずか700億元であるため、政府には完全にその能力があるはずだと同氏は主張する。