【大紀元日本7月19日】中国国家統計局は7月12日、70主要大中都市での6月の住宅販売価格は、前年同期比で11.4%上昇。上昇幅は5月と比べて1.0ポイント縮小したことが発表された。
都市別でみると、6月に、最も大きな上昇幅を見せたのは浙江省杭州市で、前年同月比で14.5%も上昇した。また、最も少ない上昇幅となったのは広東省広州市で、前年同月比5.8%上昇にとどまった。上昇幅は前月比で、いずれも0.1%下落。
また同統計によると、6月の新規住宅販売価格は前年同月比14.1%上昇し、上昇幅は5月と比べ1.0ポイント下落した。中古住宅販売価格は同期に7.7%上昇したが、上昇幅は先月と比べ1.5%下落した。
7月15日、国家統計局スポークスマンの盛来運氏は記者会見の席で、6月の主要70都市住宅価格の小幅な下落は、4月から実施した不動産価格抑制政策の効果の現れであると述べた。
一方、15日付「新華社通信」によると、中国共産党中央党校研究員の曽業松氏は、5つの状況を挙げ、「一部の不動産市場の状況からみて、不動産価格抑制策の実施を緩めるべきではない」と指摘した。
この5つの状況とは、▼6月の主要70都市のうち49都市(主に中小都市)の新規住宅価格、または39都市の中古住宅価格は、前月比で依然として上昇しているか横ばいとなっている。▼一部都市の住宅価格は依然として高い。例えば1~5月の北京市内の四環路内の物件は1平方メートル当たり3万4620元(約45万円)に上昇し、六環路以外の物件は1平方メートル当たり1万元を超え、1万1748元(約15万2724円)に達した。また、割引を利用しても一部物件の基準価格は依然、3月中旬のピークにある。▼上海の一部金融機関は市内中心地区の物件に対する住宅ローンを選択的に行っている。4月から実施されている3軒目の住宅購入向けの融資禁止令を全く無視した金融機関さえある。▼投資家は不動産市場から撤退したのではなく、投資目標を大都市から中小都市に移転しただけだ。▼統計によると、上半期全国不動産開発企業が購入した土地面積は、前年同期比35.6%増で、土地購入費も前年同期比84%増となった。
一部の専門家は、不動産価格抑制政策を今後緩めるべきか、強化すべきか、中国政府が難しい選択に直面していることを指摘する。抑制政策を緩めれば、不動産価格は急騰し、ようやく沈静化した不動産市場における投資熱が一気に復活するだろう。一方、抑制政策をさらに厳しく強化しなければ、中国のマクロ経済発展に大きなダメージを与えてしまう。現在、一部の地方政府は、抑制政策の実践に関して、地方政府による財政収入の大幅な減少に懸念を示している。
清華大学不動産研究所の劉洪玉・所長は「中国の住宅市場は近年形成した価格バブルを消化し、経済ファンダメンタルズ面や国民の世帯支払能力などに合う基準水準に戻るために相当長い調整期間を経なければならない」と語っている。
中国の不動産市場問題は金融危機前の米国市場よりも深刻
6月1日付の英国紙「フィナンシャル・タイムズ」(FT)中国語電子版によると、中国清華大学教授で中国人民銀行金融政策委員会委員の李稲葵氏は、中国の不動産市場における問題は金融危機前の米国不動産市場よりも深刻であり、バブルのリスクが潜んでいるだけではなく、不動産価格の急上昇で、多くの人々、特に若者が非常に焦っており、社会的不安へと発展していることを指摘した。
また、李教授はFTの取材に対して、不動産価格の急上昇は中国経済発展の潜在的動力である都市化を阻んでいるとし、中国当局の不動産価格抑制政策の実施は長期化するだろうという見解を示した。さらに、同氏は不動産価格抑制政策の一環として、不動産税に高い税率を設定し徴収すれば、民衆から反発され政治的なトラブルに発展する可能性もあるため、中国政府は慎重に行わなければならないと警告した。