【大紀元日本6月30日】都市汚染問題が深刻化する中国では、有害な空気に曝されて生活する人口は、3億人以上にのぼる。中国国内メディアが報じた。
中国工程院の謝克昌氏は21日、江蘇省の無錫市で開催された『科学技術の革新と都市の未来』のフォーラム閉幕式で、改革開放政策以来、中国経済は急速に発展してきたが、エネルギー消費がGDPの成長を大幅に上回っていると懸念を示した。
同氏によると、08年の中国のGDPは4千326億ドルを記録し、世界総量の7.14%に相当し、エネルギー消費は世界総量の17.7%にあたる。09年の中国のエネルギー消費量は10.5%増加しており、GDP1.8%の増加率を遥かに上回る数字だ。今年の第1四半期には、6大エネルギー消耗業界のエネルギー消耗率は3.2%上昇している。
このような消耗は都市生態環境を悪化させている、昨年環境保護部が曇天(どんてん)時の空気検査をしたところ、上海など7都市のサンプル全てが基準値以上という結果が出たという。
中国メディアの報道によると、国内488都市のうち、半数以上を占める258カ所で酸性雨が観測されたという。酸性雨が降る確率の高い都市は、主に長江以南で、江蘇省や浙江省周辺がこの範囲に入っている。
今年1月「ニューヨーク・タイムズ」紙に掲載された世界環境指数の番付で、中国は121位とランク付けされた。08年よりさらに16位格下げとなった。
中国工程院の謝克昌氏は、ここ数年ヒートアップしている都市建設を控える必要があると警告する。建築物の寿命を適切に延ばせば、中国は2030年に至る前に4.5トンの石炭を節約することができるとも指摘する。
本部を米ワシントンに置くアースポリシー(地球政策)研究所、ジャネット・ラーソン(Janet Larson)氏は、石炭の使用を抑えることが、中国の採るべき方向だと見解を示している。
ラーソン氏によると、中国の現在の発電は主に石炭に基づくもので、石炭は全てのエネルギー源の中で最も空気を汚染する。石炭の燃焼はスモッグを発生させるうえ、温室効果も増長させる。天然ガスや石油に比べて、石炭は環境に最も悪いエネルギーである。中国が19世紀のエネルギーに頼り、21世紀の経済を発展させようとしていることは明らかに非合理的であるという。
ドイツ在住の中国環境保護問題専門家・王維洛氏は、中国の深刻な空気汚染の主要な原因は石炭燃焼にあるが、空気汚染の予防対策にハイテク技術を使用していないことに問題がある。エネルギー消耗率はGDPの発展より高いもの、という中国指導層の意識にも関連していると指摘している。
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