中国の富豪総数、世界3位に 専門家 「赤色世帯が主体」

2010/06/18
更新: 2010/06/18

【大紀元日本6月18日】米コンサルティング大手、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)はこのほど、世界の富豪の資産を示す年度報告書を公表した。それによると、09年の資産百万ドル以上の富豪の人数は、中国が米国と日本に続いて、世界3位になったという。

中国問題の専門家、北京理工大学の胡星斗教授は米VOAのインタビューに対し、富豪者数が世界3位となったのは、中国が豊かになったことを意味しないと指摘、「中国の現状況は、金持ちが多すぎるのではなく、貧困者が多すぎるのだ」と述べた。

「中国の富豪の所得、多くは公にすることができない」

同教授は、「中国の富豪の多くは、収入を公にすることができない。その点は、多くの民主国家の富豪とまったく異なる」と指摘した。

同教授によれば、中国政府の自己基準では、貧困者数は2千万人というが、世界銀行の基準では、その数は2、3億人に上るという。中国にとっては、貧困者を貧困から抜け出させることが先決で、そのためには、平等な競争体制を作らなければならないと話した。

中国の富の集中も非常に深刻である。世界銀行は先月、中国国内では1%の家庭が41.4%の富を占めており、世界で最も貧富の格差が大きい国の1つであると発表した。

赤色世帯、富豪の主体」

中国では、富は少数の利益集団に集中、特に官僚集団と独占事業に集中している。政府系メディア「人民日報」傘下の「人民論壇」は今年年初に、総資産上位3千世帯のランキングを公表、政権の特権者(以下、赤色世帯)がその主体であることを初めて認めた。

「これは中国の特色である。すなわち、政権の権力を握る人、またはその親族という特権者たちがいわゆる『市場経済活動』に参加する」と、北京大学経済学部の夏業良教授は赤色世帯に富が集中する理由について説明した。

「多くの専門家も指摘しているように、中国では500世族が富を握っている。江家(元総書記・江沢民一族)にしろ、李家(元首相・李鵬一族)にしろ、あるいは、現職の胡家(総書記・胡錦濤一族)、温家(首相・温家宝一族)にしろ、これらの世族の総資産は皆百億元(1元=13.5円)を超える。この巨額の富をどうやって築いたのか、公職の収入ではないのは明らかだ」と夏教授は話す。

また、「政権の特権者は公共利益の口実で農地を剥奪し、農民には少額の補償金しか支払わない。彼らがその農地を不動産開発業者に転売する時には暴利を得ることになる。そして、貧困者の主体である農民というグループは、就職や、医療、教育などすべての面において公平な権利すら得られない。豊かになり、もっと多くの富を築く機会は皆無に等しい」と、土地問題にも触れた。

中国問題の専門家で、国外在住の華人経済学者・何清漣女史は、「『赤色世帯』というグループは当たり前のように手厚い政治資本を有し、国の経済資源を思うがままに占有する。政府の許可がなければ参入できない貿易、インフラ、エネルギーなどの産業に参入し、それによって、容易に巨額の富を手に入れる」と指摘した。

(翻訳編集・叶子)